おれのくーくーちゃんは毎夜2時半や4時半におれの寝ているベッドの近くにやってきて「ふにゃあ」と鳴く。
初め、それは「お腹が空いたよ」の合図と思っていた。
けれどご飯を出しても食べる気配を見せることが少ない。たいていはパトロールをしてそのまま「ほかほかのわな」に落ち着く。安心はしてくれたらしい。
くーちゃんが自分や食欲のためだけに鳴くのではないと気づいたのは、わりと最近のこと。
おそらく、パトロールで気づいた(少しは、下僕に対する寂しさもあってほしい)。それは欲というよりは秩序、普段からこうあるという世界認識に関わることで、くーちゃんの世界では、気づいたときにご飯が用意されているのが正しい。
この秩序の訴えの感覚は伝えるのが難しくて、僕も子供のころに、何が不安というのではなく、庭や部屋を見て回って、いつもと違う何かに気づいたときには、そのことをばあさんに伝えに行った。
必ずしもお腹が空いていたわけではないが、伝えに行くとばあさんはとうもろこしやホットケーキを出してくれた。多くの場合、食べて、安心して、昼寝をした。