おれのくーちゃんが、いわゆる分離不安めいた仕種や鳴き声をかなり見せるようになった。5歳7か月はヒト換算で39歳。さもありなんというお年頃と思う。
ときに、おれのばあさんはおれのことを「こんなにかわいい孫は{だれにも|どこにも}やらない」と、よくうれしそうに話していた。
くーちゃんは生涯、おれから分離する必要はない。分離は誤りである。お出かけの間だけは、がまんしてもらうようよくなでなでして、お願いをする。そして足早に帰ってくる。
おれのくーちゃん。
おれは、おれのくーちゃんの椅子にたまに座らせていただく。くーちゃんが本来の場所に落ち着いているときには、少し離れる。そして、できるだけ邪魔をしないように、そっと見守る。キッチンから椅子を持ってきてデスクに斜めに向かう。キーボードの音を、やっぱりできるだけ控えめにする。
おれの(かわいい)くーちゃん。