illegal function call in 1980s

1980年代のスポーツノンフィクションについてやさぐれる文章を書きはじめました。最近の関心は猫のはなちゃんとくるみちゃんです。

「悪事を働く」と同様の特徴を備えた動詞はあるか

「悪事を働く」なんですが、大変に興味深い形態をとっています。

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目的格(ヲ格)をとっているので「働く」は他動詞的に機能しています(自動詞的に機能する場合は例えば「彼はよく頭ガ働く」=主格/ガ格)。一方で、「働く」には「働かす」「働かせる」という明確な他動詞の形も存在しており、かつ、「悪事を働かす」「悪事を働かせる」とはいわない。

試みに辞書を引けばこのパターンは目的語に悪の名のつくものばかり。盗みを働く。悪事を働く。乱暴を働く。新明解には「反社会的なことを」なんて書いてある。

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慣用表現といってしまえばそれまでのこと。けれど、気になる存在です。「時をかける少女」の「かける」が近いのかな――弱い気がする。「駆ける」だし、「架ける」だし。どちらも他動詞が前面に出てくる。

抽象化すると、「何々をうにゃうにゃする」の形をとり、「うにゃうにゃする」の辞書記載の用法の8割がたが自動詞であるようないい回し、他にあるでしょうか。

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ところでまけもけさんの返事の「はい」がかわいいですよね。こういう、反逆や悪事の精神のあり方でいたいと僕も常々、思います。

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おまけをもうひとつ。働くは「ニ(かたかなのニ)格」もとって、文法をやる人にはなじみがあるかと。「この動詞は四段ニ働く(=活用する)」なんていいます。