illegal function call in 1980s

1980年代のスポーツノンフィクションについてやさぐれる文章を書きはじめました。最近の関心は猫のはなちゃんとくるみちゃんです。

ごつごつしたまま書く

今週のお題「私がブログを書きたくなるとき」

「ごつごつしたまま書く」これが、私にはなかなかできません。いや、十分に、ここ(はてなブログ)で書くものはごつごつしているし、投げやりですけれど(必ずしも投げやりではないのですが)、そういう意味ではなくて。

ごつごつしていない例

これです。

http://kumabooks.com/Second-Opinion-Sample.pdf

これは、ごつごつしていないんだ。この、第1章部分は(そりゃ、ごつごつしているけれど、それも執筆意図の1つで、90年代末はこういう空気があったはずなんだ)、これは俺の代表作だ。だって、俺はそう思ったんだもん(ぶんむくれる)。しょうがないじゃねえか。全体の構想を練って、どこに落ち着くかわからない、でも、よよん君に届けなくちゃ仕方ない、だったらできるだけのきれいな言葉で書こう、噛み溜まりのないように(これは丸谷才一海老沢泰久の美徳を端的に表したことばだ)、this is 俺。うるせえ馬鹿野郎w

ごつごつしている例…の前フリ

諦めた。俺は短篇も、中編も、ノンフィクションも書けない。向いていない。15年、我慢しちゃうんだ。id:wattoさんが型と情動の話をしているよね?

www.watto.nagoya

ひっじょーうに触発されて。あ、wattoさんのこの記事はごつごつしていないと思う。いつもながらの親切な饒舌体。そいで、型という言葉は使っていないんだけれども、敬意あるパクリというのは思うに型を模倣することであって。三島が目指したのは型だよね。6世紀7世紀以来の日本の文化意志の型を継いだんだ。で、(で、っていう)ひっじょーうに慧眼だと思ったのは(あえて変なふうに引用する)、

相手が斬ろうと思う部分を斬らせるのではなく、自分がここなら斬られていい、と思った部分を斬らせることだ。たとえば左腕である。左腕を切断されても即死はしない。だが何人もわざと腕一本斬らせはしまい。だからこそ故意に左腕を切断させることは相手の意表をつくことになる。その一瞬の隙をついて逃げろ(隆慶一郎「影武者家康」)

www.watto.nagoya

お、おう。だめな自分を、自分の最もだめな部分をさらけ出す、そのことによって、忍びなら忍びの大義のために、たとえ我が身は不具となりとても、生きるんです。エドマンド・バークのいう保守の精神に通じる何かかも知れない。

翻ってごつごつしている何かの胸に迫る例

我慢しないで書く、のがいいんだろうな。我慢はする。しかし、我慢しすぎるのはよくないんだ(きっと)。

tanpopotanpopo.hatenablog.com

たんぽぽさんの、この一連の話、筆致、タメ、ためらい、ごつごつしたまま絞り出す呼吸、なんというか、ひっじょーうに心動かされて。俺も介護や見取りは相応に通過したわけよ。けれどね、俺には、その瞬間、並行した世界の息遣いを、書くことに抵抗がある。5年10年15年我慢して、相応十分な咀嚼をしてだな(できっこないんだけれども)、寓話化して、こう、場に、月45PVくらいしかない読者のみなさんに、差し出したいと、思うわけなんだ。型に、事象を温めて、型も、中身のどろっとした鉄もそうだけれども、冷え固まるには時間がかかるだろう? ある程度、かっちりした、ゆるぎないものを、打ち立てていきたいわけよ。

反省したね。たんぽぽさんのこのシリーズを読んで。嘘じゃねえ。俺のコメントを見てくれりゃ分かる。

韻文てのは、刀の一閃が勝負だ。藤沢周平/池波正太郎めかしていえば「キラッ」「鋭ッ」でお終いにする、そのコンマ数秒のために、侍は我慢するんだ。

その、韻文(57577)をおやりになる、たんぽぽさんのタメと、いまこの瞬間に五臓六腑をのぼっていくため息が、こう、呼吸器を、食道をのぼっていくときの、内襞がなぞられ、削られていくときの感じが、ある。

またタクシーに乗り帰宅して、友人との約束の時間まで実家の掃除をした。

冷蔵庫は、いつの何か解らないもので溢れている。捨てれば揉めるのは解っていた。小皿に謎の残り物があって、さすがにこれは捨ててしまおうと提案すると

「それは、明日カラスさけっから取っといて」と言う。

「カラス!」私が驚いていると

「おれが外さ出はっとエサもらうべとカラスが飛んで来んが」と、楽しそうに言った。

カラスが来るのも嬉しいなんて、どんなに寂しい日々なのだろう。

私は皿を元の所に置いた。

そして洗濯物を取りに2階へ行き、ベランダの窓から外を見た。すると、近くの電線にとまった1羽のカラスがこちらの方を見ていた。

tanpopotanpopo.hatenablog.com

これ、芥川賞候補だろう? 違うのかw

ここを切り取る俺もすごいが、「カラス」「おれ」で一閃を食らわす技の冴えといったらない。上述したような理由で俺は私小説が大嫌いなんだけれども、間違っていた。

入稿しました

入稿しました。そしてやっとここに記事を書く時間がとれた。

えっと、京都に行ってきます。お墓参り。

過去記事のリンクはどれを貼ろうか迷うところだけど、 いちばん僕らしくてみっともないのにしよう。

dk4130523.hatenablog.com

みなさんのおかげで、ここまで来ることができました。

*

8日の夜、横濱ジャズプロムナード(何とあの関内関外先生のお膝元で毎年開催されているんだぜ)を聞きに行ったあと、そのまま夜行バスに乗るか、いったん船橋に帰って翌朝一番の新幹線で京都に向かうか。迷い中。それで9日は、

  • 10:00 猫寺さん
  • 11:00 はてな京都オフィス
  • 11:30 近場でランチ
  • 14:45 京都発新幹線で帰郷

くらいの動き方をします。

猫寺(称念寺)さんが、よよん君の眠るお墓です。

www.nekodera.net

10月2日が、よよん君の命日。僕は会ったことも直接話したこともないけれど、いや、15年待ったんだ。

*

10時にはお寺に着いてお墓に頭を下げているから、もし誰か、ランチを集(たか)りたい京都の学生さんがいたら、遠慮なく連絡してくれい。ここ(ブコメ)でも、マストドンでも、Twitterでもいい。

それは、よよん君が願った夢の形の1つではないかと、何となく、そんな気がします。

*

というわけで、ほんとうに、ほんとうに、ほんとうにどうもありがとうございました。

よよん君、ありがとうね。

ホマレ姉さんの本がAmazonから届きました

ホマレ姉さんの本がAmazonから届きました。

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www.homarecipe.com

すごいよこの本。ほんとによく出来てる。東南アジア、例えばタイやベトナムを旅している。そうすると英語圏からの観光客や滞在者あるいは彼ら彼女たちのお土産に、地元伝統の料理を紹介する薄手のフォトブックを目にすることがあると思う。

おそらく伝わりやすいイメージとしては、あれの、手間暇をかけた、手厚い版。増量版。

実に粘り強い本作りをなさっている。はてな発の単著ってこうだよねえ。2冊買った。贈答用にまだ買うと思う。

僕の上の写真、テーブルクロスが敷いてあるけど、もう、まるっきり、ホマレ姉さんの料理のブログ記事を読んで(これ書くのもう何度目かだけど)「この人の言葉は間違いない」「ということは野菜と料理は間違いない」とすっかり惚れ込んで、俺、それまで料理しなかったんだぜ。

*

奥付に、ホマレ姉さんは1997年に本格的に野菜農家として就農したという趣旨のことが書いてある。20年だ。実はちょうど昨日今日、川崎貴子おねえさんの本もAmazonから届いた。

我がおっぱいに未練なし

我がおっぱいに未練なし

 

この川崎さんも1997年に経営者としての道をスタートさせている。97年、僕はまだ大学院にいて、時期的にちょうど、(文字通り)言葉を失って、苦しい時期だった。あのころはある意味でいまと似て、フリーターブームなどという甘言が長い下り坂を予感させる景況を覆い隠そうとする、その時代相もあって、いや、僕は先が見えなかった。

97年に「事業」を始めた、その頃の僕にはもちろんまったく面識もなく、このような形で将来に接点を持とうとはつゆ思わなかったお二人。それが、期せずして同じ日に僕の好みの本を上梓なさった。

Cool Veg 農家が提案する これからの野菜レシピ

Cool Veg 農家が提案する これからの野菜レシピ

 

本居宣長には、生涯を賭けて、女が男に及ぼした影響の大きさを説いた人という一面がある。正しいんじゃないか? 俺はばあちゃん子だし、母親のセンスをおそらく功罪ひっくるめて受け継いでいるし、ねこちゃんは3人とも女の子だし、ご縁があってよかったと思うブロガーさん(?)の大半は女性だ。

いわずもがな、お二人は、その筆頭である。

*

おねえちゃん子であり、お母さん子であったよよん君の物語は、来週中には本になる見込み。俺はホマレ姉さんと出版では(俺のはクラウドファンドを使った他費出版だけどさw)同期だ。やったぜ!

*

www.homarecipe.com

www.homarecipe.com

ホマレ姉さんの本のおしまいのほうに、これらの親戚、「黒キャベツのおやき」が出てくる。早くも、冬が待ち遠しくなってきた。

椿本涅子さんの卒論提出を祝う歌

出版をお祝いし、書籍を求めて感想をツイートをしたところ、お礼をいただいていたんです。僕のツイートは椿本さん (id:tsubakimoto_neko)  の記事でも引用していただいているから、ここではわざわざリンクするまでもございませんな。

www.tsubakimoto-neko.com

知ってる?アイツの名前: 最近何だか気になるの

知ってる?アイツの名前: 最近何だか気になるの

 

本、面白くて、お礼もとても素敵で、いつか何かの形でメッセージをと思っていました。

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*

歌を詠んでみた。

つらつらと椿のもとの物尽くし。ひとり猫のみ花弁に鼻寄せ

品詞分解する。自註だけどおめでたいことだからいいのです。

  • つらつらと:副詞。もちろん、「巨勢山(こせやま)のつらつら椿つらつらに見つつ思(しの)はな巨勢の春野を」を踏まえる。本歌取りである。
  • 椿:名詞。椿の字は国字。
  • の:格助詞
  • もと:名詞。椿本さんの「もと」に掛ける。
  • の:格助詞
  • 物あるいは物尽くし:名詞。古来、日本には物尽くしの伝統があって、枕草子「春は」「山は」云々と、主題を立ててそれはねとやる形式のこと。椿本さんの御本は、この物尽くしの趣きがある。
  • ひとり:副詞。「のみ」と呼応する。1人というよりは「ただ」くらいの意味。ですがここでは「ほか(人)はさておき、ねこは」の強意で使いました。
  • 猫:名詞。涅子さんに掛ける。
  • のみ:限定/強意の副助詞。
  • 花弁:名詞。文字数の都合で「かべん」と読んでください。
  • に:格助詞
  • 鼻寄せ:サ行下2段活用動詞「鼻寄せ」連用形語幹。「て」の省略で余韻を残す。

*

訳は次の通り。自註だけどおめでたいことだからいいのです(繰り返した)。

万葉にある「巨勢山のつらつら椿」ではないけれど、椿本さんの手元足元御本には、物尽くしのおもしろい話が連ら連らと、たくさん詰まっています。でも、ねこちゃんは(人とは違って)お話よりも椿の花びらに興味津々、鼻をくんくんさせているみたい。

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卒論提出、おめでとうございました。

そして改めまして、出版おめでとうございます。

(落款が付してある。何者ぞ…)

追伸:結句は「ひとり猫のみひらにはな寄せ」も、あったかな。「ひらに」:平伏して。はなびらの「ひら」に掛ける。「はな」:花と鼻を掛ける。

つらつらと椿のもとの物尽くし。ひとり猫のみひらにはな寄せ

ちょっと謎掛けが多い気がして、「花弁に鼻寄せ」を選んだのだけど、「ひらにはな寄せ」のほうがかわいかったね。こういうとこ、まだまだなあ^^;

というわけで、追って「ひらにはな寄せ」版のほうもお届けします。見比べてみてくだされば、幸甚にございます。

ことだま/ことのはの件

例年、暑い盛りになると、トンデモ学説的なものを見たり聞いたりします。

教師「暑いとむやみにいうな。涼しいといいなさい」

僕「どうしてですか」

教「言葉にはことだまというものがある」

僕「で」(※僕はここですでにいらいらしている^^;)

教「でじゃない! xx(おれ)君は後で職員室に来るように。それはさておき、みんなが暑い暑いいうから涼しくならないのだ。日本に涼しいという総量が上回れば涼しくなる」

僕「うそつき。超うそつき」

ブログ記事や、ツイートでも、ちらほら。

これただの嘘ならまだいい。まず「心頭滅却すれば火もまた涼し」の誤解釈であること、次に、誤解釈に基づく悪しき精神主義に地続きだから、困ります。

ただ、僕はオピニオン記事が嫌いなので、そういうの(正面切っての批判)を書くつもりはありません。

それで、心頭滅却云々に関しては、手っ取り早い以下を参照して、「なるほど、なんか違うな」くらいに思ってくだされば十分です。

zidori.xyz

今日の本題に入ります。日本語の古い形では「ことだま」「ことのは」は、どのような関係/構造をとっていると見るのがよさそうか。

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だいたい、こんな具合になっています。もちろん、もっと、未分化だろうけど。

マル囲み1-4の象限は、数学の象限とは異なります。この模式図限りの便宜的なものと思ってください。念のため、いつもの大野晋先生の岩波古語辞典を引いておくと、

  • (P.516)ことたま(略)人間にタマ(霊力)があるように、言葉にもタマがあって、物事の実現を左右すると未開社会では強く信じられている。そこでは言葉とコトとの区別が薄く、コト(言)すなわちコト(事)である。言葉はそのまま事実と信じられている。(略)
  • (P.517)ことは(略)《語源はコト(言)ハ(端)》。言(コト)のすべてではなく、ほんの端(はし)にすぎないもの。つまり口先だけの表現の意が古い用法。(略)

と記してあります。図は、これと、いくつか覚えている万葉や古事記の用例と照らし合わせて、まず間違いのないところで象限を切りました。

暑いときは何が起きているか

  • マル1:暑いの神様が超お怒りになっている。
  • マル3:気温が上昇する。
  • マル4:人の口に思わず「暑い」が漏れる。

暑いときにことのは「涼しい」を合唱するとどうなるか

  • マル4:「涼しい」「涼しい」「涼しい」(以下略)
  • マル3:(しーん)暑いまま
  • マル2:(しーん)
  • マル1:暑いの神様は超お怒りのまま。

言の端/葉は、結果に過ぎません。いうなれば、火事の現場で「水」「水」と連呼するだけで火を消そうとするようなものです。

ではどうしたら涼しくなる可能性があるか

原理的には、2つです。

  • 生贄を捧げる
  • 神官を通じてお呪(まじな)いをする

神事には貢物が伴い、生贄が含まれるのですが、便宜的に分けておきましょう。

お祓いをする神主のイラスト | かわいいフリー素材集 いらすとや

生贄の例(ただし間違い)

  • 松岡修造を国外追放する

最近とみに知られた秘法ですよね。かなりいい線行っている。でもこれ間違いの可能性がある。

なぜ松岡修造国外追放は誤りなのか

西暦400年頃の2冊の歴史書(A)/有職故実(B)があったとします。

  • 歴史書(A):386年夏に大旱(大日照り)があった。民は大いに苦しんだ。
  • 有職故実(B):386年夏に帝は松岡修造を東晋に遣わした。xxxyyyzzz(破れて読めない)。
  • 再び歴史書(A):386年秋は穏やかな気候を取り戻した。一部で不作があったが民は持ちこたえた。

西暦700年頃に帝に取り入り政権奪取を目論むPさんがいたとします。この年(700年)夏は猛暑。さて、Pさんは歴史書(A)と有職故実(B)が読める。一か八か、帝に次のように提言するでしょう。

Pさん「帝、暑さを鎮めるために、松岡修造の血筋の者をペルシアに派遣してはいかがでしょうか。有職故実にこれこれがあります」

実は、破れて読めないxxxyyyzzzの部分こそ、暑さを鎮める秘法が記してあった。かつ、386年秋の穏やかな気候を取り戻したことと、386年夏の松岡修造の東晋派遣には、(近代科学はもとより古代の世界観でも)因果関係はない。のですが、それでもPさんは帝の手前何かをしなければならない。その苦肉の策(にすぎない)というわけ。

気をつけないと、けっこう、こういうのがあります(史料批判の必要性)。

テニスのコーチのイラスト | かわいいフリー素材集 いらすとや

ではお呪いはどうすればいいのか

分かりません。

ただ、上の松岡修造東晋派遣のように、後世の陰陽師たちは、史書の伝える天候や儀礼など(有職故実)を丹念に調べ上げ、そこに何か「目下の災厄を祓い清める何かの照応関係」のようなものを見出そうとした。そしてそれを、門外不出の口伝として、代々伝えたとか、伝えなかったとか。これが、おそらくマル2に効くのでしょう。

*

以上は、少々の与太話を含みますが、次のことだけはどうかお忘れにならないでください。

  • 言の葉は、人の口から、「たま」の結果が「は」として、ふと漏れる/漏れたものに過ぎない。
  • 言の葉に、言の葉で対抗しようとしても、少なくとも素人には無理でしょう。何の効力もない。そればかりか、悪影響すら及ぼしかねない。ついでにいえば、好きな人にただ好きだと伝えるだけで両思いになるわけがないでしょう。なったら苦労しないんだ!(なぜか個人的なたぎる思いが…)。

人には言の葉が降りてくるのを待つことしかできない

図を再掲します。

f:id:cj3029412:20170819213427p:plain

リンクを貼ります。

tanpopotanpopo.hatenablog.com

実は、今回の記事は、うんちくを傾けるのが目的ではなく、id:tanpopotanpopo さんのお気持ちが、なんというか、痛いほどわかる(気がする)。そのときに、

コトノハの神様は、まだ近くにきっといるはず。

それは、書くことをやめてしまわない限り、目には見えないけれど、側にいるのだ。

短歌も頑張ろう。また詠もう。

(一部、僕はたんぽぽさんの歌は決して謙遜なさるようなものでないと思うので、引用時に僕が削除しました)

万葉の御代から、人の営みは変わらないんだなあって。何とか、マル3の「現象の端切れ」あるいはマル2の「言の本質的な部分」に、マル4の言の葉のところでじっと耐えて、アプローチするしかないんだなあ、そうだよなあって。マル4からマル1、2、3は遠いけど、そばにいると信じ、願う生き物だよねって。

そんなことを、思いました。

*

(あれじゃない? 「運動瞑想野菜三百五十喝!」とかのおまじないと実践が、意外に(マル1には届かないにしても)マル2やマル3を揺り動かすのに、効き目があるのでは?)

*

以上、いつもながらのお粗末様でございました。

岩波 古語辞典 補訂版

岩波 古語辞典 補訂版

 

 

Zeeちゃんのこと

いくつか、宿題(書きたいこと、書かねばならないこと)があるんですが、ちょっと一息つく感じで今回はZeeちゃんのこと。

twitter.com

I am a cat who was diagnosed with Chronic Kidney Disease in 2014. I've had a blood transfusion, stem cell therapy, and acupuncture. I'm feeling great!

Twitterの自己紹介です。ここだけ訳します。理由は後述。

2014年に慢性腎疾患の診断を受けたねこです。これまでに輸血、幹細胞治療、針の治療を受けてきました。いまはすっかりいい気分ですにゃー。

とてもかわいいんです。女の子。それから、Zeeちゃんの話す英語がかわいくてかわいくて。Meow Meowもそうですが、エリザベスカラーを交信機に準(なぞら)えてみたり、とてもウィットに富んでいます。

英語の腕試しをしようという方は、次のFundraiserの記事を読んでみてください。

非常にその、アカデミックな内容を含むのだけれど平易。Muntさん大学の先生だったかな、確か。

www.gofundme.com

オレゴン州にお住まいのSteve Munt(スティーブ・ミュント)さん。それから主治医のいらっしゃる動物病院が、

twitter.com

ところで、Muntさんは先日お母様を89歳で亡くされました。

リリカルで、悲しい中にも抑制と読者(フォロワー)への思いやりに満ちたツイートでした。いまはちょっと見当たらないのだけれど、「いま、新しい星がひとつ生まれました」ってツイートされました。

*

と、まあ他にも様々にあり、これだけ胸を打たれると、Fundraiserの記事を日本のみなさんに紹介したい、そのために翻訳(英和)させていただけませんか、ってお願いしたくなるでしょう?

しました。

しかし、Muntさんはいままさに、Zeeちゃとのことで書籍化、執筆を進めているとのことで、著作権の問題が発生するから、申し訳ないけれど辞退したいとのことでした。代わりに、オレゴン州に来るときにはきっと声をかけてほしい、と仰ってくださった。僕も、もし日本にお見えになる際には出来るだけの力になりますとお返事申し上げた。

*

僕も、Fundraiserのサイトから3,000円ほど募金を行いました。

それが、いいことなのかどうか分からない。きっと、いいことなのだろうと思う。しかしそれを、他の方に勧めることはできません。

*

代わりに、Muntさんがどういったコミュニケーションをお取りになる方か、なーんだと思われるかも知れないのだけれど、僕とのやり取りをお見せして、この短い記事の締めにしたいと思います。

僕は、誇張でも何でもなく、この"true friends"と呟いてそれに8人の方からハートをもらったときに、英語圏の方に自分の英語が生まれて初めて通じたと、心から思いました。

Zeeちゃんのこと、どうぞ、よろしくお願いいたします。

*

追伸:命に別状はないと思うのだけれど、いまZeeちゃん、治療後のちょっと我慢の必要な時期にあります(ツイートをご覧くだされば一目瞭然と思います)。それで、急ぎこの記事を書いてリリースすることにしました。

2007 久留米医英語(部分)再受験生氏対応

再受験生氏と打ち込もうとしたら再受験生蛆になった。これが筆誅というものである。

オンラインで出典が見当たらないので手打ちする(手打ちくらいはまあしちゃる。その時間に古語覚えるのならw)。

There are several ways of dealing with a book of jokes. One can, for instance, read it from beginning to end at a single sitting or perhaps at two, swallowing the contents in large gulps, like a pint of beer. This is often the reviewer's way, particularly if he is in a hurry. It is the wrong way. It leads to depression and irritability. Then there is the consumer's way - the business man's, the politician's, the music-hall artist's: strictly utilitarian.

The reader is on the lookout for a new funny story, less for the sake of enjoyment than in order to enliven a speech, crush an opponent, suggest, a gag, etc. (下線部A)そのような人にとっては小咄集も便覧のようなもので、折にふれてみては材料を探す本なのである。 下線部(B)He will carefully select two or three jokes suitable for the occasion he has in mind and work them in, ignoring the rest till some other occasion. This is vastly superior to the first, and may, in fact, be the right way.

出題は、下線部(A)英訳と、下線部(B)和訳。

まず下線部(B)の和訳に手を付けるのがよろしかろう。

  • そのような人は、ジョーク(小咄)が役に立ちそうな状況があらかじめ頭の中にあり、それに適したものを2つ3つ慎重に選び出そうとするものだ。そしてそれ以外のジョークはまた別の状況が来る(に呼ばれる)まで(ずっと)放ったらかしにされる。

伊藤和夫的補注を記す。

  • そのような人:前の文、下線部(A)で「そのような人」とある。これを、Heを「彼」と訳すなよ(!)というサインだと受け取り、受け取ったことをきちんと訳文で表明する。採点官は「よしよし」と思うだろう。
  • あらかじめ想定された:he has in mind. haveは動詞の性質がもともと継続相なので「あらかじめ」くらいは文脈依存でやってよい。
  • 役に立ちそうな:work them in. themはjokes. workは機能する、働く、役に立つ。ここでは珍しい他動詞だが、自動詞で訳すのが自然。inはin the occasionのthe occasionが省略。
  • 別の機会が来るまで:till. tillは極めて重要。tillは極めて重要。tillは極めて重要。byとの識別、訳し分けはいまからでも必須。byとの識別、訳し分けはいまからでも必須。byとの識別、訳し分けはいまからでも必須。[大切なことは3回繰り返す]
  • すなわち、tillは「マデズット」。byは「(オソクトモ)マデニハ」
  • [用例1]He needs to pass the entrance exam by 2019 at the latest. どんなに遅くとも野郎は2019年までには入試に受かる必要がある。
  • [用例2],whereas she says that she will wait for him till he passes (does). ところが彼女は野郎が受かるまで(いつまでだって)待ってくれると仰っている(オドロイタネ)。
  • 鬼畜。まさに鬼畜。腐れ外道。
  • 放ったらかし:ignoreの一般的語感は無視ではあるが、ここは「放置プレイ」が相応しいだろうね。目も呉れない、なんてのも渋い。
  • 1文言い切りが難しければ、ロジックの通る限りにおいて、今回のように2文に分割しても構わない。いわゆる分詞構文後置。

次に、下線部(A)の英訳。

  • To such readers, a book of jokes seems like a handbook (reference) that they would search for ingredients in occasionally.
  • ああ恥ずかしい。やばいやばい。でもまあ日本人の書く英語としてはこれで合格点だろう(笑)。
  • ForでなくてTo:S seemns A to me. Sは僕にとってAに見える。seemを使うときはtoです。
  • 便覧:handbookが出るといいが、受験生は硬い単語を頭に叩き込まれるだろうから、referenceが出てくればよしとする。
  • would:婉曲。(まあもし探すとすれば)くらいの含み。willでもよかろう。
  • search for:まさに書物の中から自分の状況にあったジョークを(目を皿にして)(頁をめくりめくりし)覗き込んで探す感じ。「検索する」
  • ingredients:材料。まあ思い浮かばないだろうし綴りもミスりがちだから、materials, cluesくらいまで、本番では押し込んでしまえ。materialsのがいいかな。俺は採点官に向けた嫌味ったらしいアピールでingredientsを投入するタイプ。
  • inは、in (the book)のthe book省略。こういうの、関係代名詞の綾でなかなか微妙なところなんだが、とりあえずなんとなく感じ取ってくれ。
  • occasionallyは、ダサいけど「折に触れて」のもっとも間違いの少ない訳語。as needed(必要に応じ随時)くらいまで許容されるかな。

今回、こちらからは以上です。下線部以外のところも、同じ具合に、訳してみ? 力付くから。