昨日
帰りが遅くなって
くーちゃんが窓辺で
不安げな表情で僕が玄関口に向かうのを見ていた
夕飯は16時
朝は4時
計ったように正確で
だから19時過ぎの帰りに
見放されたのではないかと不安がよぎった
そんな顔をしていた
部屋に入り
4分33秒ほどよそよそしい距離のあった後で
くーちゃんは
これまでも何度か僕の不注意であったときのように
僕を許して受け入れてくれた
安心してからは「ほかほかのマット」の上から
遠巻きに僕の料理をする後ろ姿を見ている
分離不安症
などという近代のタームよりもはるか以前に
生き物の古層には
愛着
着いて離れたくない気持ち
仕事に追われてくーちゃんへの思いを少しだけヘルメットのように取り外していた
お見通し
翌朝今朝
出かける気配を察知したくーちゃんは
いつものように横になっておなかを見せて
ブラッシングを待つ姿を見せてくれた
おれは根本的に何かを間違った
いまでも間違えている
その確かな予感は
普段
くーちゃんのもふもふに覆われていて
1年にいちどくらいおれは
確かな手ごたえを以て
間違えて
ひたすら愛情と思しきものだけを注いで8年半
今度こそ
くーちゃんのためには
決して間違えまいと
守備率9割9分は維持してきた自信はあるが
残りの1分につまづく
注がなければ気づかなかった窪地
ゴルフボール1個もないほどの足元に