illegal function call in 1980s

1980年代のスポーツノンフィクションについてやさぐれる文章を書きはじめました。最近の関心は猫のはなちゃんとくるみちゃんです。

沈丁花・梅・芝桜(?)・狐・池(575)

僕の好きな4字熟語に筑紫歌壇というのがあります。

西暦725年ごろに大伴旅人山上憶良、小野老(おののおゆ。いい名前です)、大伴坂上郎女たちが、太宰府で酒を飲んで歌った会があります。これを後世、筑紫歌壇と呼びならわしました。万葉に数十種、撰されています。

www.city.dazaifu.lg.jp

大伴旅人は左遷ですね。家持の父上。左遷であり、外交手腕を試された、還暦60歳過ぎと伝えられますから、うまくいっても中央への復帰はなかった。片道切符です。結果的には京に帰り来るを得るんですけどね。ちなみに家持の弟に書持さんてのがいるんですが(イエモチではなくヤカモチ。カキモチではなくフミモチです)、うまいですよ。解説はしません。

https://manyoshu-japan.com/18545/

弟君、って感じがします。

大伴旅人 - Wikipedia

さて、再び父上の旅人ですが、酒を愛し、愛されて、酒になりたいと願い、戯れ、歌った。梅を好んだ。

https://tankanokoto.com/2019/04/tabito-sake.html

解説しません。1首だけしますか。

なかなかに人とあらずは酒壺になりにてしかも酒に染みなむ

  • なかなか=なまじっか、中途半端に、A(用例としては、not Aをとるいいならわしです)するくらいならかえってBのほうが。中途半端にAではいたくない。それよりはBで。
  • 酒壺になる=リンク先にもある「窯場のそばに埋めてくれ。陶土陶片になっていつでも酒に接していられるから」、あるいは壺中の天
  • しかも=し・か・も。強意・疑問・あいまいな気持ち。なりたい感じかな(、なぜかというと〜)
  • 染みなむ=連用形+なむ、で強意・意志。「いっそ、そうなってしまおう」。

訳します。

中途半端に人でいるくらいなら、いっそ酒壺になって、酒に馴染んでしまおうかね。

別に1300年前の人とその歌だからって難しく捉えることはないです。

「おれと酒」、そのひとつ前の記事が「おれと梅」。

感受性もまた、型(かたち)です。それは黄金頭さんの価値をいささかも損なうものではなく、彼の感受性は古典(classicalという意味での)的ということです。「なかなかに」の歌なんて、「ぽい」でしょ?

そんなわけで今日は僕もあやかって、梅を見てきました。

沈丁花

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芝桜(?)

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以上、沈丁花・梅・芝桜(?)・狐・池(575)。

平成の終わりから令和年間にかけて、南関東でインターネットを介した仮想的な「南関東文壇」が形成された。代表的な文人、物語作家、随筆家に黄金頭(読み方不詳)。彼の少し年上ながら、才能を理解し、尊敬し、酒を贈った(記録が残る)自称文芸評論家に船橋海神がいる。

民明書房「21世紀文学史大全」

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あ、読書と猿で(何でやねん)思い出した。万葉に猿は1首だけ。大伴旅人です。

あな醜(みにく)賢(さか)しらをすと酒飲まぬ人をよく見ば猿にかも似む

訳すね。

ああ見苦しい。利口ぶって酒を飲まない人がいる。よく見たら確かに猿に似ている。

これじゃあまるで、いや(自粛)……あーあ、台なし……\(^o^)/

黄金頭さん、いつも明言して恥じないところではあるけれど、ありがとうね。僕以外の読者のみなさんにも、同じ気持ちのところは――もちろん――あるよ。

この政治の季節にあって、黄金頭さんの深夜便は、安保闘争時(1960)時に書かれた庄野潤三静物」の趣き。おれはこの先もきっと一生忘れない。ホワイトデーに酒を(別途)。

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小休止。明日からまた、愛知(名古屋)の話に戻ります。

 

2021年3月3日
船橋海神🐾💕🐾💕🐾💕