もう彼のことは忘れてしまえよ。
(中略)
ただ週末のわずかな彼との時を
つなぎ合わせて
君は生きてる。
息が詰まるほど
人並みに押されて
週末電車でアパートへ帰る。
まだ君は若く
その頬の涙
乾かせる誰かがこの町のどこかで
君のことを待ち続けている。
浜田省吾「もうひとつの土曜日」
*
すみません、歌詞の並びは思い出すまま、適当です。
3周くらいまわって、ほんとにいい歌詞だと思うんですけど、75周くらいすると、この歌い手は肝心のことがわかってないことに気づきます。一般には気づくのがもうちょっと早いかな?
*
彼女(「君」)は、週末のわずかなカレーとの時間だけで残りの5日なり6日なりを生きていけるんですね。生きていけないんじゃないかと勘ぐる/そこに賭けてみたくなるのは歌い手(だけ)です。その身勝手さと紙一重の一途さが若さゆえ、ではありますが。
*
僕は朝6時に船橋を出て、材木寄せ場で7時から働いています。19時に家に這い着きます。その間、思っているのはくーちゃんのことです。朝と晩と夜半の僅かな時をつなぎ合わせて僕は生きている。それはくーちゃんが僕を待っていてくれるからです。待っていてくれると信じることができる。彼女(「君」)だっておそらく同じ仕組みでしょう。
*
それは十分に、満ち足りた幸せではありませんか。
*
野暮を絵に描いたような浜省の歌詞は、しかし誰しもいちどはかかる麻疹のようなもの。
*
今回76周めで、私はみなさんに伝えたいことがある。
これ、「君」を待ち続けているのは雄猫かもしれない。そうして再び上に目を遣って歌詞を眺めてみる。悪くないシーンだと思いませんか。
*
斯くして今回の私のテーゼ:「もうひとつの土曜日」の歌い手は、猫(雄)であった。
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