illegal function call in 1980s

1980年代のスポーツノンフィクションについてやさぐれる文章を書きはじめました。最近の関心は猫のはなちゃんとくるみちゃんです。

新作小咄「一度でいいから」

ああ志ん生になりてえなりてえ…って思い詰めてたら、帰りの総武線で座ったまま寝ついちまったらしい。

 夢ん中に師匠が出てきてくださった。

-あれま、なめくじの師匠じゃないですか。こんちは

「おう。お前さん、俺になりてえんだってな」

-はい。でも、師匠のお許しはなかなかむつかしそうですね

「いいよ」

-え?

「いいってんだ。なっていいよ」

-本当ですか。ありがてえ。ありがとうございます

「俺でよけりゃあ。好きなだけおなりよ」

-いえ、一度でいいんで

「何だいその言い方は」

-実はその、二度目三度目は決まっておりまして

「俺じゃねえのか」

-えへへ

「誰だいそいつは」

黒門町

「やな野郎だね。俺を目の前にして黒門町だなんて」

-噺は、志ん生師匠がいちばんなんで

「そうかい。そう云ってくれたら、少うしは嬉しいね」

-噺と、酒と博打はこりゃもう師匠に敵う方はいない

「それでも黒門町になりてえんだな」

-ええ。その、こっち(小指を立てる)のほうで

「それだ。さすがに俺もそれだけは敵わねえ」

-でしょう。それでまた四度目には師匠んところへ噺のおさらいに戻ってくる

「ん?」

-どうしました

「それじゃあ何だか俺がちょいっとかわいそうだ」

*

ふなばしーふなばしー

*

そこで目が覚めた。

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ああ、志ん生になりたい。60歳までには、何とか、すがりつきたい。

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