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illegal function call in 1980s

1980年代のスポーツノンフィクションについてやさぐれる文章を書きはじめました。最近の関心は猫のはなちゃんとくるみちゃんです。

日めくり百人一首 #005 おく山に紅葉ふみわけなく鹿の声きくときぞ秋は悲しき

日めくり百人一首の第5回。猿丸太夫。名前で損してるかもしれないランキング2位。1位は蝉丸。

元歌

#005

おく山に紅葉ふみわけなく鹿の声きくときぞ秋は悲しき

猿丸太夫

単語に切る

おく山|に|紅葉|ふみわけ|なく|鹿|の|声|きく|とき|ぞ|秋|は|悲しき

品詞分解

おく山(名詞)

に(格助詞)

紅葉(名詞)

ふみわけ(カ行下二段動詞「ふみわく」連用形)

なく(カ行四段活用動詞「なく」連体形)

鹿(名詞)

の(格助詞)

声(名詞)

きく(カ行四段活用動詞「きく」連体形)

とき(名詞)

ぞ(係助詞)

秋(名詞)

は(係助詞)

悲しき(シク活用形容詞「悲し」連体形。「ぞ」の係り結び)

知識事項

・奥山とは、「人里を離れた山の中」「深山」というお約束のフレーズ訳があって覚えておくと便利。たんに山奥ではなく、人里を離れたところが訳出/採点上のポイントです。

・連体形が多い。「なく」「きく」はそれぞれ「鹿」「声」を修飾するからふつうの連体形。ちなみに体は体言(名詞)の体。それに対して用というのがあってこれは活「用」するものという意味。近代史で「中体西用」というときはまた違う。何のこっちゃ余談。

・「ふみわけ」の主語はだれであろうか。人=詠み手、鹿、の2説がある。が、これはふつうに素直に読んで鹿ではないかな。また、鹿の鳴き声が聞こえなくても、山奥とそこを歩く鹿に、想像力を働かせたという感じもする。

・「なく」は、ただ鳴くのではなく、求愛です。鹿は雄も雌も鳴くそうです。ここでは、読み手が猿丸太夫(男性)だし、雄ではないかと。

・「かなし」は、愛し(いとしい)系と、哀し/悲しい(切ない)系がありますが、この歌では切ない、でしょう。

解釈

人里を離れた深い山。紅葉をかさかさと踏み分けながら、きゅーきゅーと求愛の声をあげる雄鹿の声を聞くと、いかにも秋という感じがして切ない。

別段むずかしいところのない歌です。視覚効果(深山と紅葉と鹿)はもちろん、かさかさときゅーきゅーの聴覚の対比を掴んでおきましょう。それよりも、鹿の鳴き声をYouTubeで確認しておきましょう。


野生の鹿の鳴き声

補足

また、ほんとに偶然ですが、伝、猿丸太夫の墓が、このたびの地震被災された益城(上益城山都町)にあるそうです。

猿丸太夫