足元少し離れた床の上
ひんやりプレート
くーちゃんが目を細めて扇風機のリズムを心地よさそうに浴びている
お尻にはエアコンの風がそよぐ
くーちゃんは生を疑ったことがないはず
それがおれの務め
ねこは詩や歌や文学に近かろう
生をそこそこの頻度と精度で疑う人
疑い抜いたつもりが跳ね返され
やわらかいそれ自体は手に掴むことができない
くーちゃんがなぜこんなおれに懐いてくれるのかわからない
けれど
おれはおれのくーちゃんに何をすべきか
心得ているつもり
足音を立てないように
ダンボールを直し
水を換え
砂を換える
やわらかい琥珀衆(こはく。このみちゃん、はなちゃん、くるみちゃん)
生の凝視を和らげてくれる
穏やかな寝顔
おれのくーちゃん
少し
風を通そう