どうでもいいことなんですが、和泉式部の才能と技法の詰まった一首がどんぶらこと流れてきたので黙っちゃおれない郭公(ほととぎす)。
津の国のこやとも人を言ふべきにひまこそなけれ葦の八重葺
すげー。たまらず品詞分解する。
津(名詞。現代の津ではなくて摂津。ドラゴンズの摂津ではなくて律令摂津)
の(格助詞)
国(名詞)
の(格助詞)ここまで、「こや」を引く枕詞
こ(カ行変格活用動詞「来」命令形)
や(係助詞。強意)また、「こや」で昆陽に掛ける。掛詞
と(格助詞。引用)
も(係助詞)
人(名詞。中世古語の人は、思い人)
を(格助詞)
言ふ(ハ行四段活用動詞「言ふ」連体形。助動詞べしの接続=上に乗る形は連体形です)
べき(当然の助動詞「べし」連体形。次の「に」が「それなのに」の「それ」=体言を乗せている)
に(格助詞。逆説)
ひま(名詞)
こそ(係助詞。係り結びを作る。強意)
なけれ(シク活用形容詞「なし」已然形。已然形は上の「こそ」の結び)
芦(名詞)
の(格助詞)
八重葺(名詞)
訳す。57577だw
伊丹昆陽(いたみこや)/小屋を訪ねて/来てねと言・い出せない芦・目のあたしです
※芦目。僕の即興造語ですけれど「胸がいっぱいでまるで芦の目詰まりのした屋根のよう」aikoみたいな。
*
和泉式部ってすごいでしょう? 元歌「葦の八重葦」のダブルで来る葦を、「芦」「あたし」に乗せてみたんだけど、元歌はそんな小賢しい真似をする必要がない。駄目押しでいえば、摂津→難波→難波潟→芦の産地って自然な連想が働いた(当時は)。
ちなみに、栃木両毛線、小山と栃木の間に思川という桜の名所がある。いま無理して行政主導で恋の町なんていってるけれど、それじゃうまくいくはずのなかろうもん。
どうしたらうまくいくかって? 歌人の出番でしょう。例えば、新沼謙治。石川さゆり。北島サブちゃん。ご当地ソングの発祥は実は(何が実はだ阿呆か俺は)中世和歌にあった。(当たり前だ。)
*
和泉式部はすごいなあ。