(4/28)初出時のまま再公開
これは何?
こんばんは。「点と線」第25回です。3月30日に田中孝博さんが提出、記者会見を行った「100万人リコールの会」の「政治資金収支報告書」を分析しました。
- これは何?
- 分析とは
- 二重帳簿を前提
- 137って何?
- そもそも表帳簿(「政治資金収支報告書」)だけでは説明が破綻する
- 時系列抜きの報告書でいい逃れできるほど甘くない
- そこで今回は特別に再構成
- それが図の「回転資金」
- でもなぜそんなおかしな話が
- ちょっとひと息
- 試しにやってみた
- 高須克弥が12月中下旬にすべきだったこと
- 今回の結びに代えて
分析とは
ここでいう分析は、端的には時系列分解(と、それを踏まえたキャッシュフロー分析)です。社会通念(例えば家賃はどれくらいか、人件費は月何人相当をいつ支払うかなど)や、各種の整合を取りつつ、「100万人リコールの会」にできるだけ有利なように、繰り返し値を積み上げては崩し、また積み上げては……を行いました。有利なようにとは、これも例えば、大口の支払いは極力引き伸ばす、各月の支出は平準化する、団体立ち上げ時の元手はできるだけ少なくて済むように、などです。
二重帳簿を前提
注意点として、二重帳簿を前提としています。具体的には、「政治資金収支報告書」とは1円単位でぴったり一致、整合するのは当然として、その上で、「政治資金収支報告書」外で行われているとしか、社会通念上、法理上、考えられない取引(G社への支払いがその代表的なものです)について、「100万人リコールの会」にできるだけ有利なように、積みました(優しい)。それが下図(図1)です。
(図1)
137って何?
2021年1月31日末時点の推定される手持ちキャッシュです。
「政治資金収支報告書」(3/30版)の収支200(万円)と違うじゃん。って話が当然あるかと思います。これは表帳簿(「政治資金収支報告書」)と、帳簿外の取引を加味した結果です。差額137-200=▲63については、この先、特に「それが図の『回転資金』」節あたりまで読み進めていただくと、自然に、理解いただけるかと思います。
ここで要点だけ書いてしまえば、回転資金を入れる際の絞り方如何です。僕は、今回の分析にあたり、回転資金を最小限に抑えました。資金の流れの輪郭をより明確に浮かび上がらせるためです。
そもそも表帳簿(「政治資金収支報告書」)だけでは説明が破綻する
そもそも、表帳簿(「政治資金収支報告書」)だけでは説明が破綻し(てい)ます。最も顕著なのが、立ち上げフェーズ(2020年6月から9月)までの当座資金です。クラウドファウンディング(CF)は、8月25日に始まりました。早期引き出しプログラムに応じ、手数料(250万円と聞きました)を分割(事務局に優しく計上)で支払ったとしても、月次の収支に計上できるのは最速で2020年9月分からです。
時系列抜きの報告書でいい逃れできるほど甘くない
だいたい、時系列を差っ引いた「政治資金収支報告書」(3/30版)でいい逃れができると思うのがおかしい。異常です。普通(一般企業では)、台帳を用意し、日付別・収支別・費目別(大中小やABC)に、証跡伝票との対応関係を備考欄に記して、口座残高や現金と1円の狂いもないように担当者が責任をもって重ねていくのが、最低限の当たり前。経営分析や監査の、二丁目三番地くらいです。
そこで今回は特別に再構成
今回、田中孝博さんが示した「政治資金収支報告書」(3/30版)には、それ(日付と明細の要素)が、まるでない。仕方なくて、僕がバラして、再構成しました。
一部だけお見せします。
(参考図)
やる前の予備的分析の段階から薄々は気づいていたのですが、CF開始前の立ち上げフェーズ(2020年6月から9月)の当座回転資金が、ない。かなり、少ない。結果的に、高須克弥と670人の方からの寄付を時系列の前のほうに寄せて、僕の分析では仮の解決としました。おそらく実際にもそうだったでしょう。
2020年6月から12月までを、アコーディオンのつづらをくしゃっと折りたたんで結果だけを見せるようにすれば、最終収支はあたかもプラスになります。
しかし、つづらを時系列で伸ばし戻すと、2020年9月には資金がショートする。具体的には、高須の寄付150万円と670人の方の725万円を、何とか6月、7月、8月に、平準に入ってくるようにそれなりに策を用いても、9月には諸々の支払いのしわ寄せが来てしまう。
それが図の「回転資金」
それがゆえの「回転資金」です。月次の収支に対し、理想的に均衡するように、合わせました。再び具体的には、「回転資金」なしに、9月中に、最深(マイナス)部、-28万円だとします。28万円を9/1の「回転資金注入」に計上すればいいのですが、この手の団体にとって、手元不如意は怖いですから、50万円単位に切り上げて、月初に計上してあげることにした。
もうちょっと乗せると、上述の政治資金収支報告書と僕の今回の分析結果との差額137-200=▲63万円は容易に埋まります。でも、それはしない。わからなくなってしまうから。そういうことをすると、高須克弥と田中孝博さんが1,200万円を巡って「どハマり」したのと、同じ轍を踏むことになります。
話を戻して、「回転資金」は、「政治資金収支報告書」(3/30版)に記載のないものです。でも、お金(ヒト・モノ・カネ)は実際に、否定しがたく、動いている。その不足分の穴埋めが簿外(報告書外)で合計1,750万円。でもそれだけじゃ足りなくて――現実のお金は実際に、否定しがたく、動いていますので――、高須克弥は2020年12月中下旬に1,200万円を入れるほかになかった。
でもなぜそんなおかしな話が
繰り返しになります(先日の別の記事でも書きました)が、それは、G社への発注書に、田中孝博さんが「リコールの会 会長 高須克弥、同代理人 田中孝博」と、うっかりサインしてしまったためです。そう考えて初めて、全体像と細部が、かなり整合的に理解できる。
田中さんのナイスプレイです。このお芝居第1幕の、最高の伏線です。「なぜ、そんなことが起きたか」の、田中さんの行動様式と心理の分析も、いずれお話しします。
「リコールの会」やその会長である高須克弥の立場、視点に戻ると、G社やポロシャツの仕入れ先から民事で訴えられたら、アウトです。代理の効果は直接に本人に帰属する。民法総則の大原則です。
田中孝博さんは知ってか知らずか(おそらく政治家としての本能に近いものかと思われます)「契約はすべて、リコールの会 会長 高須克弥、同代理人 田中孝博でやっている。個人としては、やっていない」と話しています。
ちょっとひと息
実は、今回の記事には後半に苦く笑うしかない分析知見があります。その前提として、図1を再掲します。
(図1再)
試しにやってみた
試しにやってみました。何を? 全く同じ明細から、他の部分や上述の「回転資金」ロジックを変えずに、G社の1,475万円だけを除外したらどうなるか、です。可視化して、見てみたかった。淡い期待と予感もありました。
お待たせしました。はい、どうぞ。
(図2)
色見が変わってしまっているのはご容赦ください。
何と、G社支払いを除外した場合、高須克弥が12月中下旬に1,200万円を入れると年末に1,244万円余ってしまうことが明らかになりました。2021年1月末まで古出来の事務局は存続しています。それまでの諸経費を見ると、確かに83万円の赤が出る。それくらい(切り上げて100万円)を、一時的に建て替えてあげるなら、わかります。総務省からは注意されるかと思いますけれど。
高須克弥が12月中下旬にすべきだったこと
事務局がG社への支払いを行っていないのだとしたら、高須克弥は1,200万円を出す、ではなく、「返してもらう」が正しかった。ベクトルが逆でした。
あれこれやりすぎて、わからなくなっちゃった(小芝居の)ふりをしたのではないでしょうか。
でも、何を「返してもらう」? ――回転資金1,750万円です。現実に全額は無理としても(理由は次回以降の記事で述べるつもりです)。
高須克弥自身が、12月より以前にも、建て替え風のことがあったらしいことを、さらっと述べています。
「今回貸したお金はリコールの会を運営するため、広告費や人件費や家賃を払ったり、仕入れや何かをしたときに赤字が出た分を貸してあげただけ」(高須克弥会長)
署名偽造疑惑 団体に高須氏1200万円貸す、大村知事のリコール活動|TBS NEWS
そこなんです。過去(推定9月から11月までの間)に都度、その場で赤字が出ている分を、12月中下旬に貸すとは?
団体はクラウドファンディングなどでおよそ4800万円を集めましたが、最終的に1200万円足りず、去年12月に高須克弥氏から1200万円を借りて補ったということです。
「回転資金」については今後さらに考察を加えます(その余地、例えば、高須克弥以外からも出ていたのではないかなど、があります)が、今回「G社への発注と支払いが――事務局が断言するように――存在しなかった場合、既報のように高須克弥が12月中下旬に1,200万円を入れると、年末に1,244万円余ってしまう。入れる必要が全くない。なかった」こと(分析事実)だけは、どうかご記憶ください。
今回の結びに代えて
1,200万円の借入(貸付)金は、3/30版の政治資金収支報告書に記載済であり、高須克弥自身が認めている、歴史的的事実であり、公文書上の事実です。このことはきわめて重い意味を持ちます。脱法行為です。そう先日ツイートしたところ、高須克弥からブロックされました。
金額にしても、総収入約6,000万円の1/5、20%です。報告書の補正で済ますには、高須にとっては吹けば飛ぶような金額かもしれませんが、社会通念上、大きすぎます。というか、いかなる策を弄しても、分析明細が僕の手元にできてしまったので、無駄です。
以上、お読みいただきありがとうございました。僕はこれから、ユアーショップさんにパイナップル🍍を注文します。
2021年4月5日朝
船橋海神🐈💕