illegal function call in 1980s

1980年代のスポーツノンフィクションについてやさぐれる文章を書きはじめました。最近の関心は猫のはなちゃんとくるみちゃんです。

私信/指針/獅子心/矢沢心

私信です。ちなみに、インターネットが行うのは分断ではなく接続です。

成人済と成人になる生娘の話 - 局でひとり筆をとりて

季雲納言さん、変わらず、文章がとても流暢でいらっしゃる。それはいまさら言及するまでもないことなので、今回は内容本位でお答えしようと思います。

…いや、私が一方的に怒られてるような感じになっちゃうんですよね。慰みものになりたい恋心は片想いなら構わないけど、誰かと付き合う上では非常に面倒です、だって怒れないから

これは、よくないです。

慰みものになる恋は恋で構わないと思いますが、怒る―怒られるという関係は対称ではありません。ほかに、教える―教えられるとか、先立つ―送るとか。中でも、もっともよくない非対称的な関係が、私は怒る―怒られるだと思う。

もし、そのような(非)対称性の原理的な現代ブンガク的考察に関心がおありなら、次の2冊をお勧めします。

言葉と悲劇 (講談社学術文庫)

言葉と悲劇 (講談社学術文庫)

 
自分を知るための哲学入門 (ちくま学芸文庫)

自分を知るための哲学入門 (ちくま学芸文庫)

 

考えてみれば私は怒るという行為がめちゃくちゃ苦手です。逆に怒られるととてつもなくダメージが来ます。「怒られる=悪いことをした=自分は悪い子」という方程式が成り立っているんだと思います。小さい頃から叱られるとすぐ泣いてしまう子供でした

怒ったり、怒られたりしたことは、当人同士が思う以上に、それぞれの心と記憶に、深いものを残します。怒ることでとりわけよくないと思うのが、怒られた側が「自分が悪い」と受け取ってしまうことです。感受性は、日をめくるごとに、少しずつ、少しずつ、硬化していきます。怒られること、怒られたことを受け止めることで、季雲納言さんのせっかくの感受性を、硬化させていくことを、私は感心しない。

それは、将来のある文学的才能の損失だと思う。本気です。

これは想像ですが、お父様かお祖父様か、目上の親しい男性との関係の原型(幼児体験)に、「厳しさ」や「叱られること」がありませんでしたか。もしあったなら、無意識のうちに、そのような関係を選んでしまうという(俗流)心理学の言い分にも、それなりに耳を傾けるべき点があるかもしれません。

次は、おなじみの福田恆存です。福田は強面の保守論客とされていますが、眦を決したりしない。丁寧に、噛み砕くように、女性向けに、幸せとは何かを「わからない。わからない。わからないんだけど」と、ジェントルに説き起こしてくれます。

私の幸福論 (ちくま文庫)

私の幸福論 (ちくま文庫)

 

次も福田です。シェイクスピアの作品群からその「非対称な場」「劇」「自発行動する言葉」というライトモチーフを同時代に先駆けて読み取り、端正な現代語で訳したのが本書です。

いずれの著作も、俗流心理学とは1枚も2枚も違う味を堪能させてくれるでしょう。

ハムレット (新潮文庫)

ハムレット (新潮文庫)

 

ですから、性格的にも未熟な未成年に合わせられてしまう彼もまた未熟で、彼が自身の基準で怒り私が一方的に泣いて自分を丸め込んで納得してしまおうとするのです

他所様(よそさま)の恋路ですので、否定はいたしません。

もし、そのような恋にお疲れのことがありましたら、永遠の名作の次などいかがでしょう。

小さな恋のものがたり チッチとサリー BEST SELECTION

小さな恋のものがたり チッチとサリー BEST SELECTION

  • 作者:みつはしちかこ
  • 出版社/メーカー: 学研プラス
  • 発売日: 2020/01/16
  • メディア: 単行本
 

より、深く傷つきたくんば、石神井柴門ふみを。

同・級・生 (1) (小学館文庫)

同・級・生 (1) (小学館文庫)

 

近年では読まれないのでしょうけれど、かつては明るくライトな別れという流儀もございました。

ツルモク独身寮(1) (ビッグコミックス)

ツルモク独身寮(1) (ビッグコミックス)

 

以上、万葉からみつはしちかこまで。船橋海神の無用のおしゃべりでございました。ごきげんよう。にゃーん😺😺😺