illegal function call in 1980s

1980年代のスポーツノンフィクションについてやさぐれる文章を書きはじめました。最近の関心は猫のはなちゃんとくるみちゃんです。

川端俊介さんのこと

【魚拓】いま託す:センバツ校OBから/1 君よ、ハートは直球で 後輩のプレー、名エッセーの呪縛解く - 毎日jp(毎日新聞)

先ほど、ツイキャスで、川端俊介さんと山際淳司の話をしてきました。お聞き下さったみなさま、ありがとうございました。

あの場で、朗読しようかどうか迷ったのですが、川端さんの名誉のために、やはり山際「スローカーブを、もう一球」から引いておかなくてはと思い、ここに戻ってきました。

それは、1980年秋の関東大会決勝、群馬高崎高校と、千葉印旛高校のひとコマ、2-5で試合には負けるものの、《タカタカ》のエース、川端俊介は、

6回、(月山の)三度目のバッター・ボックスがやってきた。ストレートで二球つづけてストライクをとると、そのあと今度は三球つづけてスローカーブを投げた。月山はそのすべてを見逃し、ボールになった。どうしても、三振にとりたいと思った。六球目に投げたのは、恐らくその日で一番速い球である。月山のバットは空を切った。《ストラック・アウト!》球審が大きく叫んだ。

山際淳司スローカーブを、もう一球」(角川文庫、表題作、P.245-246所収)

書こうか、書くまいか、話そうか話すまいか、散々迷ったのですが、みなさんは、私がこれほど口を酸っぱくしても、手にとって読むことをしないでしょう。

もし読んだのなら、ここは下線部だか傍線だか知らないが、おれなら引いて、「【問い】この場面は、のらりくらりを身上とする川端俊介にとって何であったのか。思うところを述べよ」と出題するはずです。

でもいまだかつてそんな現代文の問題は見たことがない。もうね、むちゃくちゃ格好いいわけですよ。 

スローカーブを、もう一球 (角川文庫)

スローカーブを、もう一球 (角川文庫)

 

川端俊介も、山際淳司も。二人は、互いと、80年代という時代に、波長が合ったんだと思う。つらい。

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改めて、ご冥福をお祈り申し上げます。

http://takataka-baseballob.com/Photo/2019/kawabata.jpg

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