うちのお袋はショーケンが好きだった。お袋はスマートな線の細さと激しさを感じさせる都会的な匂いを終生好んでいた。広岡達朗、高田繁、Bz(!)、新庄剛志(!)、そして萩原健一。反対に、長嶋茂雄や加山雄三のどこか野暮ったさをほとんど生理的に好んでいなかった。
入院先の病院でせがまれて、Bzと「傷だらけの天使」のDVDを持っていって見せてやったことを思い出す。そんなことを思いながら、ショーケンがぎんざNOW!で行商をしていた違法動画を探していたのだが見つからなかった。
数年前にたまたま見た、めったに見ないTVで、ダウンタウンに「もうすぐ死んじゃうから」と、例の一瞬浮かべる寂しげな笑顔で話していたのが僕には印象的だった。
*
72年末に音楽活動を停止、僕が生まれたのがその数ヶ月後、物心ついたのが「ムー一族」の前後だから、お袋にいわせると「ショーケンのほんとうの凄さを見せてあげたかったわ」ということになるらしい。84年ごろに大麻か傷害で逮捕され記者会見を開いた昼のワイドショーが、不肖の息子のショーケン体験の始まりである。太陽にほえろは見ていたけれど、マカロニとショーケンを結びつけて見ていたかどうかは、怪しい。
*
「居酒屋ゆうれい」が、よかった。お袋も「あれはいいわね」といっていた。
それで思い出したが、お袋はあぶない刑事の舘ひろしは野暮で見ていられないと目をそむけていた。柴田恭兵を好んでいた。中村雅俊のよさも自分にはわからないと何かのときにいっていた。
ショーケンこと萩原健一が亡くなったようだ。とても残念だ。亡くなったことがではなく、結局この35年間、彼がその才能を無駄にしてしまったことがだ。彼が俳優として、スターとして、特別の輝きを放っていたのは1983年までのことだ。 pic.twitter.com/37Ux2YhQ1d
— ぼのぼの (@masato009) March 28, 2019