「仮想人生」の冒頭、
寂しさは刺すように一瞬なのに、信じられないくらい体の奥深くまで到達してしまう。だから、その瞬間目を閉じ、ぐっと喉に力をいれてやり過ごす。けれど、これが時たまではなく毎晩のことなのだから、やっぱり飲み下しづらい日はあって、そんな日は適当な理由をつけてお酒でも飲みに出かけたい。
はあちゅう「仮想人生」P.7
失笑しか出てこない。
- 「刺すように」の比喩の陳腐さ。
- 「信じられないくらい」の程度表現の読み手への甘え。まるで伝わらないよ。
- 到達して「しまう」の無意味な強意の放置。
- 「だから」の論理の飛躍。
寂しいのはだれでも当たり前、常態で、それをそう書く意味があるのだろうか。これを、平然と金をとって読んでもらう/読ませる/押し付ける無神経さは、何に由来するのか。
- 「やっぱり」の意味不明。それはお前はあちゅうの独自感性にすぎない。
- 「そんな日」の意味不明。固有のどんな日かまるで伝わってこない。毎日でしょう。
この調子が、全編のっぺりのんべんだらりんと続くので、良識のある人はまともにレビューを加えようとしない。はあちゅうの小説には、対価相応に伴うはずの、サービス精神が一切欠落した小説を読まされる、絶望が詰まっている。これで作家を名乗り、生きていられ、まだ書こうというのだから、その図太さには恐れ入るほかにない。
もう、ここまで書くので精一杯。3回か4回通しで読んで、わるいメンヘラ女の印象が増強されるのみ。書き直すか、金を返すか、どちらかだ。