illegal function call in 1980s

1980年代のスポーツノンフィクションについてやさぐれる文章を書きはじめました。最近の関心は猫のはなちゃんとくるみちゃんです。

『新潮45』2018年8月号杉田水脈「『LGBT』支援の度が過ぎる」精読(04)

デモへの参加も、Change.orgへの賛同もいたしません。が、読むことはします。ときに小田嶋さん、おもしろいことはおもしろいですが、もうちょっとサイレントマジョリティに信を置こうよ的な。

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前回までのまとめはいたしません。引用をば。

「生きづらさ」を行政が解決してあげることが悪いとは言いません。しかし、行政が動くということは税金を使うということです。

前回、この直前で切ったのは、この部分をとっておきたかったからでした。ここには、杉田水脈さんの決定的にダメな部分が(何度目だこれで…)出ています。この人(杉田さん)は、「あげる」というのですね。

最近の報道の背後にうかがわれるのは、彼ら彼女らへの権利を守ることに加えて、LGBTへの差別をなくし、その生きづらさを解消してあげよう、そして多様な生き方を認めてあげようという考え方です。

「生きづらさ」を行政が解決してあげることが悪いとは言いません。しかし、行政が動くということは税金を使うということです。

悪しき恩恵的行政観の典型です。成すべきは、生きづらさを解消することにあるのではありません。前にも書きましたが、生きづらいかどうかを感じる自己決定権は、感じる側にある。そしてそれは譲ってはならない。従って、原理的に、100パーセントの解消は無理です。1億人いたら1億人の生きづらさがある。それは最大公約数や制度や恩恵やどんな行政手法や理念を以てしても全き解決はなされない。しかし、だとすればこそ、税金の用途を付託された行政権者は、絶えず、批判にさらされ、耳を傾けなければならない。

杉田は、むしろ、マイノリティの生きづらさが制度面から解消の方向を向いているのか、制度を厳しくチェックし、そうでないならば、立法により解決を図らなくてはならない。それがlawmakerの果たすべき役割です。

税金を使うのは、当たり前なんです。杉田に、その、税金を使う誰かの代弁者になれとは、だれも求めていない。ここには「おまんこ野郎」「おちんぽ女将」(尊称です)「おまんこおちんぽが頭に付着しているのか」(これは悪口です)といわざるをえない、何かしらの根本的な倒錯がある。

(いうと答えになちゃうからいわない。おれは性格わるいんだ。杉田に少しは考えさせないと。考えないと思うけれど。)

引用を続けます。

例えば、子育て支援や子供ができないカップルへの不妊治療に税金を使うというのであれば、少子化対策のためにお金を使うという大義名分があります。

ここも同様です。大義名分が立たなければ税金を使えないというのは(だれがいい始めたか知らないが誤った現実主義に過度に依拠した)論理の倒錯です。大義や名分はしょうがなくて持ち出す最終ライン。小さい義のためになぜ論点を精緻化して立法しないのか。ついでに、子育て支援や子供ができないカップルへの不妊治療と、少子化対策を直結させる感性もいかがなものかと思う。というか、(狂ってる)。

もうひとつついでに、杉田水脈は、いま現在のこの時点で、杉田水脈に税金から議員歳費が出されている大義も小義も名分も、立つとでも思っているのでしょうか。思っているのでしょう。(あれ、反語にならなかった。)

引用を続けます。

しかし、LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない。つまり「生産性」がないのです。

やっぱり、この人は生産性の意味がまったくわかっていない。引用のためにキーボードを打つ我輩の手が、そういって暴れてしまっています。「つまり」で受けているということは、子供を(より多く)作ることが生産性あり、ということになります。よし、おじさん、仕事の手を止めてオフィスラブに興じてパコパコしちゃう。

そこに税金を投入することが果たしていいのかどうか。にもかかわらず、行政がLGBTに関する条例や要項を発表するたびにもてはやすマスコミがいるから、政治家が人気とり政策になると勘違いしてしまうのです。

ここはいい。ここは、税金投入云々は擱いて、杉田さんはLGBT政策をもてはやすマスコミ(例えば、朝日新聞でしょう)が間違っていて、だからそうしたマスコミに押される政治家が勘違いしてしまうのだと、素朴な嫌悪感を表明していらっしゃる。

好きだ。杉田さん、「産経さん、ありがとうございました」というツイートを削除した杉田さん、貴方の今回の寄稿で示した「リベラル」を批判したかの図式は、多くの方が直観されているように、そっくりそのまま貴方に当てはまる。叙述からもそのことが裏付けられました。おめでとうございます。

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また、明日書きます。