今週のお題「受験」
91年2月に、上智の外国語学部ドイツ語学科と東大の文3を受けました。
上智は、場馴れです。というと本命、本命合格者の方には申し訳ないようですが。
僕は(棄教しましたが)プロテスタントの信仰を授かり、だから、キリスト教方面の知識は自然に身についていました。上智はキリスト教史の出題比率が比較的高い。特別な対策をしなくて済みます(実際、英語も世界史も楽でした)。それと、他に早慶の文など場馴れの候補はありましたが、なんとなく、受かって、東大に落ちた場合に進んでもいいかなと思ったのは上智です。由緒ある新聞学科に移ってもいいかなくらいに思っていました。
加えて、極めて邪な理由で、女子学生の比率が高い(高そうな)ところもポイントでした。高校が男子校だったからです。入学初日から、毎日しにたいと思っていました。共学の中学時代まではそれはもう楽しかった。その思い出がなければ僕はもっと早くにテロリストになっていたに違いない。
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東大に受かってよかったと心底思ったのは合格発表後の手続きのときです。
本郷の、掲示板に自分の受験番号の掲載されていることを確認する。万歳をする。体育会系のサークルの先輩方が胴上げをしてくれる。勧誘される。断る。実家に電話をかけて「受かったよ」と伝える。実は合格電報がそれよりも早く実家には届いていて、
「連絡が来るのはまだかと思って待っていた。ほんとうによかったね」
なんて、婆さんが電話口で話してくれる。当時、婆さんはアルツハイマーにかかっていましたが、僕と僕の状況のことは、かろうじて覚えてくれていたのかな、僕に出来た唯一の婆さん孝行だったと思っています。
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その電話の後、合格者に向けた諸々の手続きに進む。法文なんちゃら館、かな。合格掲示板と手続きの場所には30から50mの距離があって、そこには何があると思います、奥さん?
女子大生が左右両方からサークルの勧誘に待ち構えています。そこで、わしゃわしゃと、強引に、電話番号住所を書けと迫ってくる。
頭が良くてモテるってないの?
「坊や、基本的にそれは幻想だ」「基本的に?」「東大の合格掲示板から諸手続きまでの50m。女子大生に四肢をもみくちゃにされる。それで一生分おしまいさ」「気持ちよかったですか?」「ああ。最高だった」
2017/10/23 10:42
ですから、4月5月は渋谷に出ていけば夕飯にお金を使ったことはありません。少なくともGW前までは、受け身でスケジュールを埋めるのに一杯いっぱいだった。酒池肉林の前半部分も、後半部分も、そうです。体脂肪率が低く、筋肉質でした。それに、しばしばブコメしますが「でかかった」。カチカチ山のたぬきさん、おっぱいもんで、ねんねして、だっこして、おんぶして、また明日。
俺いま何か神が降りてきた気がする。
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そのまま、いまでいうウェイウェイ方面に行ければよかったのかも知れません。
しかし、そんな毎日が楽しいわけがない。半月もすれば厭きます。
こうなって、
こうなります。
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91年92年に(それまでも並外れて読んでいたとは思いますが)、僕は猛烈に本を読み始めました。
世界に、爪痕を、何としても残したかった。駒場寮(いまはなき)では、堀江君という風体のあがらない地味な男の子がフランス語の辞書をめくっていました。携帯電話の代理店契約ビジネスや、光通信や、3DOの前夜だったころの話です。
センター試験は756点か758点、二次では英語がはちゃめちゃに出来ました。
それでも、いま(2018年)に至る道は、そうそう変わらないものだったと思います。離婚して、うつ病を発症して、痛風にやられ、くーちゃんを愛するしか出来ない人生です。受験のときは、まさか具体的にこうなるとは思っていませんでした。
けれど、予感のようなものは、あった気がします。
何のお役に立てずに済みません。