illegal function call in 1980s

1980年代のスポーツノンフィクションについてやさぐれる文章を書きはじめました。最近の関心は猫のはなちゃんとくるみちゃんです。

ある企ての失敗について

血液グループ先生が、よよん君と出会ってしまった話は何度か書いた。おれの記事は貼らない。

もうだいぶ胸の内を話したように思う。が、まだ話していないはずのことがある。「ナディア記念病院」のことである。

ナディア記念病院 血液疾患のたまりば

1 :血液グループ ◆m2nIThBwKQ :02/10/05 23:17 ID:8RCadVqP
ようこそナディア記念病院へ。
この病院は1◆DFVNdeakという急性リンパ性白血病と果敢に闘い抜き、無念にも亡くなった一人の2ちゃんねらの遺志を継いで建設された、血液疾患専門病院です。
血液疾患について質問や愚痴のある患者さん・ご家族方、有志の血液内科医連がお相手させていただきます。
ただし、医療の基本はあくまでも診察、それを行えない環境での意見ですので我々の意見を参考とされるのは個々の自己責任に於いておながいします。
我々は一応、現場でも働いていますので、質問の回答が遅いとキレるのはご勘弁下さい、ちーとお待たせすることもございます。
また、外来が少ない場合は石連がだべっていたりするかもしれませんが、それはご愛敬。
1◆DFVNdeakの思い出をつぶやきたい方もどうぞ。
他科からのコンサルトもお引き受けいたします。

1◆DFVNdeakの事を知りたい方は
医者ってさ・・・
http://ton.2ch.net/hosp/kako/1014/10141/1014187303.html

無菌の国のナディア
http://ton.2ch.net/test/read.cgi/hosp/1016126461/l50

をご覧下さい

おれはつくづく、WELQのバカどもがやりやがったときに、この、血液グループ先生の志のことを思った。ちなみにいま、ねこちゃん関連の素人意見がウェブを汚していて腹立たしい。

話を戻して、この「ナディア記念病院」こそ、日本で初めての本格的な、匿名の、特定疾患のプロが患者が交流できる(可能性を秘めた)キュレーションサイト、「いままさに」のことばでいえば、医療ますとどん、だったのではないかと、改めて思う。

しかし、一瞬立ち止まって考えてみればわかるように、これは、いかにも、うまくいきそうにない。実際、うまくいかなかった。荒れて、拡散して、「第6病棟」くらいで萎(しぼ)んでいった。

*

おれはこのことを当の血液グループ先生に尋ねたことがある(昭和記念公園近くの喫茶店でインタビューに応じてもらったのだ)。若書きで恥ずかしいのだが、取材音源とメモから引用する。

*

―大変失礼ながら、うまくいくと、思っていましたか。

あそこは、2ちゃんねるだから…(しばし無言)

―切り込みます。ほかにも、血液グループ先生は、いくつかのミスをおかしていらっしゃる。第一に、よよん君と友人が立てた掲示板(※わし注teacup)で、友人たちから「荒らし」というレッテルを貼られた。第二に、告別式に「2ちゃんねる有志」の寄せ書きを持っていって、白い目で見られた。そして第三がこの「記念病院」です。

ええ。私は、よよん君に、何ひとつできていない。

―ほかにもあります。ボコノン教のボコマルの儀式のためによよん君に会いに行ったはいいが、あなたは知らない病院の1Fで、外来に見えた見ず知らずの患者さんの道案内のために15分近くを費やした。結果、直前まで待っていてくれた、よよん君は薬が効いて眠ってしまい、お話ができなかった。

はい。白衣を着ていれば違和感なく病院に溶け込めると思ったのがミスでした。

―あの、責めているわけではないんです。職業病のようなものだと思ってください。すみません。

わかっています。わざわざ、来てくれたりしませんよね。

―さらに問題だと思うのは、2ちゃんねるのスレッドで他の方もおっしゃっている、血液グループ先生は、自分の体調がまだぜんぜん戻ってきていない。ろくに寝ていらっしゃらない。おそらく、よよん君がいつ2ちゃんねるにやって来てもいいように、「番」をしている。

番とまでは…ただ、眠れないし、気になるし…(しばし無言)

―それら、個々の出来事を見ると、血液グループ先生がさきほどおっしゃったように、「何ひとつできていない」「医師失格」というまとめ、総括になる。なる…のかな。いや、僕は断じてそんなことはないと思う。

はい。いえ…はい。

―僕も一昨年、母を亡くした。結局、負け戦だとして、いや、そういう考え方はよくないって滋賀医大でxx先生に諭されたんだけど…でも、「何もしていない」「してくれない」お医者さんに、会いたい、なんて普通はいわない。よよん君はあれでなかなか好き嫌いがはっきりしている、それでいて気持ちをはっきりさせることは珍しい、という証言をお母様から得てきました。「会いたい」「会ってみたい」なんて、口にする子じゃない、それまで聞いたことがなかったそうです。

―いいか、お白州である(笑※わし注かなり無理した、ひきつった笑いをしたことを記憶しておる)。その方(ほう)、なぜよよん君がこんなにも血液グループなる人物のことを必要としていた、好きだった、特別だと思っていたことを頑なに認めようとしない。

(笑)

―よよん君は、血液グループ先生に、自分を、ご自身を、もっと大切にしてほしかったんだと思うんです。

…あの…

―はい。

それは、私も思っていました。自分のことではなくて。よよん君は、2ちゃんねるなんかに来てはいけない。本当だったら、私なんかと関わってはいけないんです。早く寛解して、こんなところのことは忘れて…

―…

でも、たまには思い出してほしいかな。

―「ここは、私の場所だった。自分のための場所だった」と記していらっしゃる。

はい。

ブラック・ジャック手塚治虫が、シラノ・ド・ベルジュラックを引いた話がありましたね。

「気の弱いシラノ」。

―さすがだ(笑)。「お前さんは馬鹿だ」という。

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www.akitashoten.co.jp

「3年間も付き合っていて、気持ちもいえない、バカの腰抜けだ」。

―恋ではないにせよ、白衣を着れば、いろんなことを覆い隠せると、ひょっとして思っていた…?

プロは、そうでなくてはいけないんですよ(笑)。私は、まだまだ。よちよち歩きの、ひよっこです。

*

ちょっと、いろんな漫画を久しぶりに読み返していて、触発されるところがあって記してみた。

シラノ・ド・ベルジュラック (光文社古典新訳文庫)

シラノ・ド・ベルジュラック (光文社古典新訳文庫)