illegal function call in 1980s

1980年代のスポーツノンフィクションについてやさぐれる文章を書きはじめました。最近の関心は猫のはなちゃんとくるみちゃんです。

取材メモから―「セカンド・オピニオン」無菌の国のナディア外伝001

血液グループ先生が専門科を選ぶひとつのきっかけになったのが、「笑っていいとも」であった。医学部6年の初夏、1984年のことである。

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テレビを離れて見ている子供のイラスト | かわいいフリー素材集 いらすとや

ある日、学食でお昼をたべているときに、タモリが映った。口べたで、思いつめるほう。友だちもそう多くない。この日も、唐揚げ定食をたべながら、遠くのテレビ画面を眺めていた。医師国家試験のための勉強でろくに寝ていないから、頭はもうろうとしている。

「世界に広げよう。友だちの輪」

記憶が前後しているかもしれないが、と断った上で、彼女、血液グループ先生はいった。「たしか泰葉さんの回。間違い電話か何かで、一般の方、それも何人かにつながったんですよね。ああ、これはまるで医者の仕事ではないかと、そう思いました」

突然、電話がかかってくる。患者や家族は治りたい一心で、相手かまわずいろんなことを伝えてくる。病状、費用、診察時間…。

「理由をつけて、断ることはできる。でも、原則として、特に診療時間を示して病院に詰めているときには、断ることはなかなかできないものですよ」

よよん君の主治医であった滋賀県立医大のX先生も、僕にそんなふうに話してくれたことがある。「患者は、医師を選ぶことができる。僕たちは、患者を選ぶことができない」。

だから実際の診療行為がどうだというのではない。X先生は続けた。「だから、こういっては何だけれど、面白いんです。よよん君、面白いでしょう?」

話を戻して、血液グループ先生。

「私は、かかってくる電話を待っている。その電話を糸口にして、患者さんのことをいろいろと尋ねる。私はほら、人付き合いがへただから、自分から口火を切ることが思うようにできない」

でも、医者になれば、ひょっとたら、もしかしてと、彼女はいうのだ。

「もしかして、患者さんと友だちになることができるかもしれない。子どもがいいな。大人は苦手だから。付き合いの長い、ゆっくり見てあげられる病気のほうが、いいかな。1人、治すお手伝いをすれば、そこからいまでいう口コミが広がるでしょう? 輪が広がっていけばいいと、思ったんです。営業面でも、これはいいと」

そんなふうに思って、選んだのが血液内科。小児科を選ばなかったのは、いわく「注射をして、泣く顔を見ることに耐えられなかったから。大人は、力づくでも我慢させればいい」。

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続きの需要があれば、草稿からのアレンジですが、(毎回これくらいの分量ずつ)載せます。(卑怯やなわしwww)

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