こねこたち、すくすくと育っています。とても元気で見ていて楽しいですと、預かり宅さんからメールと写真をいただきました。
ところで、里親募集中のねこちゃん(特にこねこ)は、どこから来るでしょうか。また、たとえばゆめネコ譲渡会さんのような譲渡会の写真はどこで撮られるでしょうか。そして再び、譲渡会に来るまで、ねこちゃんはどこで何を。
答えは、「預かり宅」さん(または「ミルクボランティア」さん)のところです。
今回のちゃーちゃんのケースが身近なので、それをもとに母猫の保護からこねこの生誕、お世話、預かり宅さんでの生活、譲渡会といった流れをご説明します。
母猫の保護
保護します。保護したら、シェルターへ。
シェルターに来たら、何はともあれ居場所(ケージ)とごはんとお水とトイレです。
(4月28日~)
こねこの生誕と母猫の子育て
5月4日でした。ここで大切なのは、人は決して触れてはいけないことです。不用意に人の匂いをつけてしまうと、育児放棄に至る場合があります。基本的に母猫任せです。ちゃーちゃん、ありがとうね。
(5月4日~6月5日)※こねこ生後0日~約1か月/1か月半
子別れ
こねこがケージから活発に外界をうかがい、歯が生え、こねこ用のフードに手を出すようになったら、子別れ(預かり宅さんへの引っ越し)の時期です。
(6月5日)※こねこ生後約1か月/1か月半
預かり宅さんでの生活
基本的には、初日の昼夜は、こねこ専用のケージで預かり宅さんの匂いに慣れさせます。多くの場合、ほかにも譲渡会参加を待っている、あるいは里親さんが決まって日程調整中のねこちゃんが、預かり宅さんにはいます。こねこなので、慣れるのには抵抗がきっと少ないでしょう。今回のだんご三兄弟の場合は、初日の人どうしの顔合わせのときから、こねこたちも先住のねこちゃんたちとあいさつをさせて、少しの時間、部屋を探検させました。ここでのもうひとつの大事なポイントは、トイレができるかどうか。
ご飯は、シリンジによる給餌です。給餌というと(とくに強制給餌といった場合は)暴力的な響きですが、抱きかかえて、口元にミルク状の食事を入れたシリンジをあてがうと、ちゅうちゅうごくごく吸い付きます。また、ハンドリング(人の手や肌と触れ合うこと)によって、人に慣れていきます。生後1か月くらいの社会化期に、このハンドリングがあるかないかで、その後の人慣れの度合いが、大きく変わってきます。
こんな感じです。
ここでもやっぱり思ったのは、ちゃーちゃんのことです。ちゃーちゃん、保護したときからすると、ずいぶん痩せました。こねこたちは、おっぱいを存分に吸って、大きく育ちました。与えられたごはんを抵抗なく、屈託なく口にできるって、やっぱり母猫の力によるところが大きいと思います。
(6月5日~6月一杯)※こねこ生後約1か月~2か月
これもまた現実
ちなみに、これもまた現実ということで、ご連絡いただいた文面を(個人情報にあたるところは一部改変して)ご紹介します。はなちゃんの保護主さんからいただいたものです。
今日写真を撮ってきました。とても可愛い子たちです。
とても元気です。ただ、特にみたらしくんが少食ですね。グレーのゴマくんは譲渡会で人気が出そうかも。
今日はシャンプーしてからノミダニ駆除をしました。
どうもダニがいたようです。それから、預かり宅さんが強制給餌したりミルクあげた時に刺されたのか、腕が凄いことになってました。
預かり宅さんもまた、日中は仕事をされています。仕事に出る前と戻った後に、今回のこねこたちを含め10人程度のねこちゃんのお世話をされています。地場の、外猫たちへの餌やりと保護活動を通じて、はなちゃんの保護主さんと知り合い、預かり宅活動を始めるようになったと聞きました。無償です。
ちゃーちゃんのこと
ちゃーちゃんは、近々(ちかぢか。きんきんと読む訓は好みではないのだ)、避妊手術と血液検査を受ける予定です。こちらは、シェルターさんから連絡をいただきました。6月26日(予定)の譲渡会デビューの前に、血液検査の結果をお知らせ出来るように動物病院と調整中ですとのことでした。それから、ちゃーちゃん自身の里親募集の開始となります。
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こんなふうにして、こねこたちは、どこかで保護され、名づけられ、面倒をみてもらい、写真を撮られ、譲渡会に運ばれ、申込、面談、譲渡と進んでいきます。そのとき、一般に、こねこの需要は高いので(かわいいから)、できるだけ早いうちに、早いうちにと、動けるだけの成長の見極めも大切になります。
男性一人暮らし問題
長文になりますが、1つだけ、最近話題になったことについて書かせてください。
実際問題として、この話題とは逆に、男性一人暮らしを問題としないシェルターや譲渡会は少なくありません。ただ、大手の里親募集サイト、例えば「ペットのおうち」といったところに、応募条件として載せる/載せられる場合には、単身者や高齢者に但し書きが付きがちであることもまた、事実だと思います。
高齢者は、まだわかります。65歳で、生後1年のねこちゃんを引き受けて、18歳まで生きることを想定したら、里親さんはそのとき83歳です。
経験者目線で
男性一人暮らしは、実際のところ、ねこちゃんにも、里親となる一人暮らし男性にも、双方にメリットが大きいと感じます。
まず、部屋がきれいになる(笑)。ねこちゃんのためです。清潔を保った環境で伸び伸び暮らしてほしい。次に、下僕の家ではないことに気づかされます。実は、ねこちゃんの家に、ありがたくも下僕が夜間早朝だけ同居させていただいているだけなのでした。
ねこちゃんも、下僕の出勤を待って、部屋の本格的なパトロールを始めます。かといって、帰ってくるとお迎えしてくれるので大丈夫です。下僕も、精神的にとても落ち着きます。それから、黒いGをなぜか見なくなります(これはでも、逆に、はなちゃんくーちゃんが誤って口にしたりしていないか、とっても心配です)。
デメリットは、よくある話で、ありったけの愛情がねこちゃんに傾きますので、出会いや結婚/再婚のチャンスといったものへの関心が薄れます。
もふもふの責任を取るというのだな
それで、もしどうしても、そのねこちゃんが合理的な理由で自分に必要不可欠な存在になってしまったので責任を取りますという場合には、一人暮らしであっても、そのことを譲渡会さんやシェルターさんにきちんと説明するしかありません。それでだめなら、残念ながら、縁がなかったということです。僕もはなちゃんの前に、2人ほど断られています。
いま思えば、僕にははなちゃんが待っていてくれた。断られたのも、何かのご縁とお導きです。シェルターさんが僕にはなちゃんを任せてくれたのは、「はなちゃん以外のねこちゃんも見て考えますか」という質問に「すみませんが、僕の気持ちは決まっています。はなちゃんがいいんです」と返信して、顔合わせのときにも、ずっとはなちゃんのケージの前でにこにこしながらはなちゃんを見ていたから、と後になって聞きました。
確かに、1年4カ月前、俺ははなちゃんのことばかり考え、歌い、記していました。
俺だって、どうしてこんなにはなちゃんのことが好きなのか、よくわかっていません(笑)。今朝の地震のときだって、真っ先にはなちゃんの様子をうかがって「はなちゃん、だいじょうぶ?」と声をかけたら「シャー」をいただきました。はなちゃんめ。
お譲りします/大切にしてあげてください
そんなわけで、だんご三兄弟は、どうしても、この子がいいんですという方に、お譲りすることが出来ればと思っています。ときどき、上にリンクを貼った「ゆめネコ譲渡会」さんのウェブサイトを覗いてみてください。写真が掲載されたら、それは預かり宅さんですくすくと大事に育ててもらった証拠です。
こちらからは、以上です。