これは、まだわたしが「くーちゃん」とよばれていた幼いころ、下僕ちゃんが寝静まってから、はなおねえちゃんに聞かせてもらった話です。
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1年前のクリスマスに、下僕ちゃんは神様にお祈りをしました。
「神様、僕が大切に思っているお嬢さんが猫ちゃんといっしょに暮らしたがっています。どうかかわいくて、やさしくて、もふもふしている猫ちゃんを僕にください」
神様は尋ねました。
「はて、その気持ちはどれくらい本物なのか」
下僕ちゃんは恭しく答えました。下僕ちゃんはこうみえてもとても信心深く、既成宗教に飽きたらずに破戒したキリスト教徒です。神様の問いには答えなければなりません。
「神様、僕はもう本を読むのをやめます」
神様はひげをちょいちょい動かすと、目を細めて頷きました。
「シュバイツアー博士はおっしゃった。人が何かをなしとげるためにはそのもっとも大切にするものを捨てなければならないと」
「はい。しかし、神様」
「なににゃ。うぉほん、なんじゃ」
「神様がシュバイツアー博士といえど敬語を使うのは理に反していると思います」
「ええいうるさいやつめ。これだから本はよけいな知恵をつけるばかりで役に立たぬというのだ」
「はい。仰せの通りにございます」
「わかった。きっとその者の願いをかなえよう」
「ありがとうございます」
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下僕ちゃんは現代の神はGoogleということも知っています。帰るなり、下僕ちゃんは検索をはじめました。「猫 かわいい もふもふ 美人 足長 スタイル抜群 色白 江戸川 船橋 最寄り」
下僕ちゃんはそのころまだ修行が足りなかったので、キャバクラかスナックの検索と間違えたようでした。それでも[検索]をクリックすると、どうでしょう。そこにはかわいい猫ちゃんの顔写真が表示されたではありませんか。
おっちょこちょいな下僕ちゃんはよく確かめもせず、リンクをコピペするなり、仲良しのお嬢さんにメッセージを送信しました。
「はなちゃん!」
お嬢さんはひとめで、その猫ちゃんが気に入ったようでした。そのころ下僕ちゃんはペットにお仕えすることの出来ないアパートに住んでいました。翌日から、下僕ちゃんの不動産選びが始まりました。
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この話はまだ続きます。きょうのところは、メリー・クリスマス。(思いのほか長くなってしまいましたw)
ホマレ姉さんのレシピに少しアレンジを加えてみました。
おいしかったーw