illegal function call in 1980s

1980年代のスポーツノンフィクションについてやさぐれる文章を書きはじめました。最近の関心は猫のはなちゃんとくるみちゃんです。

小料理屋「ほまれ」風 大根とイカのコク旨煮を堪能する はなちゃん日記 簿外

太宰の「かくめい」は、平易な文でありながら、指示語の取り方が意外に難しい。

じぶんで、したことは、そのように、はっきり言わなければ、かくめいも何も、おこなわれません。じぶんで、そうしても、他におこないをしたく思って、にんげんは、こうしなければならぬ、などとおっしゃっているうちは、にんげんの底からの革命が、いつまでも、できないのです。

太宰治 かくめい

しかし、いまの俺にはわかる。誰かのレシピを見て「うまそう」「作りたい」「これ作れるといいんだろうなあ」などといっているうちは、食生活は変わらない。スルメイカを(怯えながら)買い、足の抜き方、背骨の捉え方がわからないなりに、ワタを、イカスミ袋を選り分け、煮しめすぎて焦げる恐怖におびえながら、俺は作った。そのように、恥じ入ることなく表明できるのでなければ、俺の食生活は変わったとはいえないし、これからも変わることは望めない。そうだろ、太宰先生。

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万能ネギを買い忘れた。代わりに自家製の白菜の酢漬けを添えた。イカは2杯買い求めるところを1杯しか買わなかった(だっていきなり2杯とか怖いし)。柚子胡椒を投入するタイミングを間違えた。イカスミ袋は使い途がわからず、ラップされて冷凍庫に眠っている。大根は半月ではなく、つい切りなれた銀杏にしてしまった。「大根に少し焼き色が付くまで炒める」加減がわからなくて悶えた。日本酒がなかったので赤ワインで代用した。


そのワタ捨てちゃ勿体ない!〜大根とイカのコク旨煮のレシピ - 今日、なに食べよう?〜有機野菜の畑から~

それでも作り上げた。お嬢がおいしいといってくれた。うむ、これは確かにうまい。こんなに色鮮やかなレシピを軽やかに公開してくれる姉さんは、やはり天才ではないだろうか。そして、男子厨房に入らずを是とする家訓に(またしても)背いた俺(41)。

惜しむらくは、スルメイカの匂いにはなちゃん姫が釣られなかったこと。それだけが革命の不首尾な点であった(途中、あんなにいい匂いをさせているんだもん、ちょっとだけ期待したんだけどなあ)。しかしながら、明日、残りを大切にいただけることを望みに、粘り強くパン生地をこねたいと思う。革命は続くのだ。

 (追伸/本題)姉さん、とてもおいしかったです。ところでイカスミ袋、扱いに困ってとりあえず凍らせたんですが、どうしたらいいんでしょうか…

 (追々伸)大根の風味になじんだ、冷えたワタがうますぎて、革命なんてもはやどうでもよくなるトカトントンスプーンで掬ってちまちま舐めながら、ご飯お代わりした。