illegal function call in 1980s

1980年代のスポーツノンフィクションについてやさぐれる文章を書きはじめました。最近の関心は猫のはなちゃんとくるみちゃんです。

週末の味噌づくり/その2

 ひと仕事を終えた。

 実に心地がいい。

 とはっても豆を煮てつぶして麹と塩とまぜて、あるいはジップロック経由で、あるいは昔ながらのビニール袋に丸めて瓶詰にして、空気に触れないようにと施しをしただけである。麹の封を切ったついでに、蕪も酢味噌と麹で漬けてみた。

 しかし何であろう、この心地よさは。

 苦もなくペーストを作れたわけではない。実のところ大変であった。圧力鍋から吹きこぼれるし、焦げの恐怖は絶え間なく襲ってくるし、しかし圧力鍋を途中で開けるわけにはいかないし。豆は指の間を逃れるように踊るし。ばあさんたちはどんな魔術を使っていたのか。

 何より参ったのは麹の封を切ったときである。忘れていた。彼らは空中を舞うのである。

 おかげでうちには麹が住みついた。ようこそ。

 前にも記したがうちの実家の屋号は麹屋である。彼らはそこかしこに同居していたはずなのだが、恥ずかしながら舞いを見たのは今日が始めてである。ばあさんやお袋とはキャリアがちがう。悔しかったので、手についた大豆ペーストと麹と塩がないまぜになったものをなめてやった。うまい。この時点でうますぎる。

 ジップロックを使ったのには少しのためらいがあった。ばあさんの時代にはなかった。いま生きていたら使っていただろうか。おそらく使っていただろう。それが大正末年生まれの合理性である。だからおれも採用した。ひと瓶にはジップロックを、もうひと瓶はどこにでもある、とはいえ丈夫なビニール袋に閉じて、瓶詰にした。重石は乗せていない。大丈夫だろうか。

 蕪の酢味噌漬けも首尾よくいった。カクテキは蓋をあけたらぶくぶくいっていたので元気だ。


ニューヨークで大人気! 美味しい瓶詰めサラダ「ジャーサラダ」の作り方のコツ&レシピを教えちゃいます! - みんなのごはん

 ニューヨーカーははジャーサラダを食べているようだが、そんな流行り廃りのあるものはいかん。そういえば俺は子供のころから白菜の糠漬けをぽりぽり食べて塩分の摂りすぎ注意を親からいわれていた。わが親ながら、うまいものを作って食卓に出しておいて食べ過ぎ注意とはどういう了見か。いま仕込んでいるものは、だからどれも塩分控えめである。