illegal function call in 1980s

1980年代のスポーツノンフィクションについてやさぐれる文章を書きはじめました。最近の関心は猫のはなちゃんとくるみちゃんです。

うるせえ馬鹿野郎の話(結婚おめでとう)

おれはいま正直どうしていいのかわからないでいる。

増田に書けという話である。うるせえ馬鹿野郎。増田に書いたらおれは「何で自分のブログでやらないのか」と書くはずだ。それが VIPPER の務めである。

くそう。

*

「そうこうしているうちに結婚が決まりました」

という、おれの現代日本語口語のはるか上をいくメッセージを、先だってお嬢から、もらった。

おれはその瞬間から事態に遅れており、思わず太宰(人間失格)を読み直したり、稲垣潤一を聞いたり、さままざな対処を試みているのだが、状況は変わらない。

うるせえ馬鹿野郎。てめえら金髪豚野郎の批判でもしてやがれ。

*

いま、やっとの思いで、はなちゃんと、くーちゃんと、みーちゃんに、「○○ちゃん、結婚が決まったって」と伝えたところだ。シャーと返された。はなちゃんめ。

くそう。

*

おれはお嬢を1998-9年、小学3-4年生のころから知っている。それから2-3年にわたって知っていた。知っていたつもりだった。別れた妻の最愛の姪で、沖縄旅行にお連れしたりもした。確か、おれは2000年に結婚し、2001年の5月14日に練馬区役所に離婚届を提出した。

その、一切の非はおれにある。具体的にここに書くのは憚られる。すまない。お嬢は、経緯を知っていて、おれと会っても何ひとつ知らない振りをしてくれた。

*

おれがお嬢のことを思い出したのは、震災の当日夜、夜半、深夜である。あるいは翌日である。312にメールを送ろうとして、思いとどまっている。その形跡がBecky!にある。

おれはなぜかそのとき、お嬢のことを思い出した。生まれたときから心臓が弱くて、手術をして、いくつかの社会的差別や選別に合い、それでも賢い子で、アルゼンチンの現地校に通ったときには新婚旅行という体で、おれたちは学校を訪問し、歓待を受けた。

*

やさしい子だった。まだ、携帯がスマホに変わるか変わらないかのころに、おれの端末を覗き込んでくれて「何をメールしているの」と訊いてくれた。沖縄恩納村に3人で旅行中で、それは翻訳の進捗を(厳しく)尋ねるメールで先方の口調も荒れていたから、おれは思わずクラム(二枚貝)を閉じた。おれは妻から、

「何を○○ちゃんに隠しごとをしているの」

と詰問を受けた。そして閉口した。読者諸兄には、熟語的意味と、実動的意味の両方であることをお察しいただきたい。

*

震災の後に話を戻す。

おれはお嬢がまだ小学生か中学生のままでいると思っていた。おれは何よりもまず都心へと向かう北風が吹いたときに、お嬢を西へと逃さなくてはと思った。

「ランドセルに、教科書はいいから、あるだけの着替えと身の回りの品と物資を詰め込んで、山梨か、できればそれより西に向かったほうがいい」

とおれはメールをした。

必死の思いでアドレスを思い出した。後にわかったのだが、それは、お嬢もあと1週間ほどで解約しようと思っていたbiglobeのアドレスだった。

「いまはもう、大学生ですよ」

それが彼女の返信の第一声だった。

「ごめん」

とおれは謝った。

「まだ、△△(おれ)くんの中では私はランドセルを背負っているんですね」

お嬢は、笑って、そんなふうに返してくれる子だった。

いま気づいたが、おれは2011年当時から負けており、精神的な成長を重ねていないのではないか?

*

2011年当時はまだ北関東の実家におり、その後モスクワ駐在を経て、2014年に東京に戻ってきた。そのころ、風来坊のおれにも、何となく、ねこがいると生が変わるのではないかという予感があって、

「ねこちゃんをもらおうと思うんだ」

とぼそっと尋ねたら(駐在の見送りにも、戻りにも、わざわざ西船橋まで来てくれたのである)、

「おおー」

といって賛成、賛同してくれた。ウェブ(ねこじるしなど)でちょうど検索して出会ったのが、はなちゃんで、お嬢は、はなちゃんの紹介写真を見るなり、

「はなちゃん」

メッセンジャーをくれた。だから1人目にはなちゃんをお迎えした。おれは、くーちゃんが第一だが(すまない)、だからお嬢にとっては、はなちゃんが以来ずっと、お仕えするねこちゃんの筆頭にいるのではないかと思う。

*

2001年に、母を送り、離婚をし、2011年までの間は辛うじて、よよん君に生をつないでもらった。2011年からは、おれはよよん君と、お嬢と、ねこちゃんたちに生をつないでもらった。

おれの半生は、まるで、防御率のいい中継ぎ陣で辛うじてゲームを成り立たせている阪神タイガースみたいだ。

*

これ以上、思念を掘り下げるのは祝席に似つかわしくない。おれは今日、運転免許のうっかり失効の更新と、少し前から始めている「百万円たまる貯金箱」の小銭の預金に、海浜幕張方面に出向いた。

これから毎月、お嬢の口座に振り込むのである。

本来は、「ごつい」おれの生命保険の受取人をお嬢にする算段があるべきだった。今日も、東京三菱の窓口で何とかならんのかと掛け合ったが無駄だった。

無駄を知っていても、じたばたと掛け合わなくてはならないことがあるのである、諸君。うるせえ馬鹿野郎。

*

「(川崎方面に新居を構える)これからは、はなちゃん、くーちゃん、みーちゃんに会いに行く機会がいままでよりも少なくなりそうです。それでも、何とか時間をとって会いに行こうと思います」

お嬢のメッセージの末尾には、そう添えてあった。

*

結論は、簡単だ。

不幸はおれの側に。

黒塗りの高級車は今後、一切合切おれのところに来るだろう。