illegal function call in 1980s

1980年代のスポーツノンフィクションについてやさぐれる文章を書きはじめました。最近の関心は猫のはなちゃんとくるみちゃんです。

TOEIC今日の授業から/英検とのいわゆる換算点のことなど

こんばんは、船橋海神です。今日は某所でTOEICと英検準1級の授業を各1コマ行ってきました。英検は大学1年の秋に受験勉強の余勢をかって準1級をとっておいてよかったです。1級は常人には無理です。普通の日本人が普通の努力の延長で行けるのは英検準1級までというのが持論です。

では今日もTOEIC受験の考え方と、実践問題をいくつか。

英検とTOEICの換算点について

相互乗り換えという意味ではそんなものは存在しません。特に、TOEICで何点とれたから英検なら何級相当というのはありません。

逆ならありえます。英検2級とってください。高校で英語の授業をちゃんと受けて卒業したくらいのレベルです。これがTOEICでは500点くらい。英検準1級なら、まあ750点。反対に、TOEICで500点とれても英検2級は約束できません。750点で準1級も同様。理由が気になるかもしれませんが、対価を得ていないブログ記事にそんなめんどくさい話はしません。

とにかく、教える現場でも、TOEICで点がほしい生徒さんには「まず2級を受かってください」と伝えています。そしてしばしば嫌な顔をされます。けれど「まず2級を」というのには理由があって、2級程度も受からないようでは、その先のTOEICの伸びしろがなく、ビジネスで使い物にならなくなるのが目に見えているからです。

英検2級はビジネス英語の足腰です。めんどくさいといいつつ理由に少しだけ触れると、ひとつは、TOEICのほうが対策をとりやすい試験だからです。試験慣れすれば、400点(英検3級=義務教育修了に毛の生えた程度)は行きます。その安直さがかえってマズいのです。

TOEICの過去問やサンプル問題から何を学ぶか

これが重要です。いくら数を解いたって無駄です。1問からできるだけ多くのエッセンスを引き出す。それが自力でできるためには、せめて大学入試の2次試験で武器になるくらいの英語力が基礎として備わっていてほしい。センターはやさしい部類ですから、200点満点で最低160点以上、できれば180点はほしいところです。

それがもし、自力では無理というのであれば、いい先生についてください。あるいは、ご自身で10年20年をかけてください。自力で35歳600点なら、まあダメですけど、まずまずではありませんか。

話を戻して、多くの参考書、対策本は、売りたいがためのものです。出す側の目線になってみれば、購入者が受からず点が出ず、あれこれ手を出したり、毎年改訂される最新版を重ねて購入してくれたりしほうが、おいしい。自明です。

ということは、1冊で本当にできるようになってしまう対策本は企画、執筆されません。ほどほどに教え、ほどほどに力がつかないようにできています。本当です。だからみなさんは毎回、点が出ない。カモにされているわけです。

英検2級と準1級の間くらいの力がつけば、その蟻地獄から抜けやすくなります。すなわち、いつ何時(なんどき)からでも、自分で足腰をしゃんとできるようになる。よほど大きな制度改正がなければ、1円プラス送料の古本だって十分なんです。幕末開国期の知識人なんてみんなそうやっていました。適塾のみなさん、勝海舟小村寿太郎。現代だって同じです。

今日の実践

https://www.ets.org/s/toeic/pdf/listening-reading-sample-tests.pdf

101. Register early if you would like to attend next Tuesday’s ------- on project management.
(A) seminar
(B) reason
(C) policy
(D) scene

間違いようがないですね。(A)。プロジェクトマネジメントに関する今度の火曜日のセミナーに参加を希望される場合には、早めに登録してください。

1つの問題からできるだけ多くのエッセンスを引き出す。という話を先ほどしました。その観点では4つ、あります。(1) onは、論文などでしばしば見かける、主題を表すonです。「ついて」「関する」。やや格式張った、文語と聞いています。aboutよりも短いので書面や掲示で好まれる傾向にあるらしい。(2) attendは、他動詞です。直接、前置詞なしで、目的語を伴います。この手の他動詞で他に有名なのは、joinです。(3) seminarは、専門家会議という意味をこの機会に覚えておいてください。大学などのゼミという意味はいうまでもなくご存知かと思います。(4) earlyは、(時期やタイミングや時間帯が)早く、早期に、です。fastは、(速度が)速く。promptlyは、迅く。てきぱきと。遅滞なく。

*

102. Paul Brown resigned last Monday from his position as ------- executive of the company.
(A) fine
(B) chief
(C) front
(D) large

これも間違いようがない。英語のというよりは現代のビジネスシーンで常識の、といったほうがいい出題です。(B)。ポール・ブラウン氏は先の月曜日に同社の最高(経営)責任者から退いた。あるいは「~の立場を降りた、辞任した」。

この問題は多くを引き出しようがないのですが、2つ、3つ…かな。(1) 日本語でもしばしば用いられるようになったCEO、これ、何の略語でしたか。調べておいてください。ビジネス英語ではchiefにカタカナ語でいうチーフ=主任/班長という用例はまず滅多に出てきません。もっとずっと偉い立場の人です。(2) resignは、自動詞と他動詞があります。多くは、自動詞です。ということは、前置詞(from)を伴い、「~から離れる」。他動詞は、もうちょっと、放り投げる色合いが強い。これはTOEIC対策というより英検や大学受験対策に近い例文になりますが、He resigned himself to his fate. 彼は自らの運命に身を任せた。resign だれちゃん to なになに、身を任せる。テレサ・テンの歌にもありましたね。まあ、English as a second languageのわれわれには、素では使いようのないフレーズです。新聞や英日翻訳では、見かけたことがあります。(3) 職位(なになに長、なになにトップ)の前は、しばしば不定冠詞a/anは、省略されます。つまり、a chief executiveとならない。ならなくて自然です。ほかにはmayor (市長)なんかが代表例。お気づきになりましたか。気づいた方は、そのセンスをどうぞ大切になさってください。

*

103. The financial audit of Soft Peach Software ------- completed on Wednesday by a certified accounting firm.
(A) to be
(B) having been
(C) was
(D) were

なぜこれが出題されるのかというくらいのサービス問題。(C)。やわももソフトウェア社は水曜日に認定会計事務所による会計監査が完了した。

ビジネスっぽい形容詞に惑わされてはだめです。むしろみなさんは社会人ですから、訳されてみれば、なんだそんなことかという意味内容でしょう。(1) completeは他動詞です。auditが目的語です。それがもの=auditが主語になった形で、必然的に受け身になります。つまり、A firm completed the audit. これが、The audit was completed by a firm. と変形する。中2で習う文法事項です。あといろいろくっついているのは形容や修飾です。(2) certified これは覚えておいて損はないでしょう。「認定を受けた」。監査法人はむやみやたらとどこでもいいわけではない。当局ややわももソフト社が認定する、そのお墨付きを得た、という意味です。(3) その前にあるaが実はそれなりに興味深くて、certifiedな監査法人は複数あり、名を明かす必要まではないのでまあ、そのうちの1社によって、というくらいの含みです。

*

104. The organizers of the trip reminded participants to ------- at the steps of the city hall at 2:00 P.M.
(A) see
(B) combine
(C) meet
(D) go

これ、少しだけ難しいかも。難しくはないか。迷うかもしれません。(C)。旅行の事務局は参加者に、待ち合わせは市役所の階段のところで午後2時と念を押した。

seeの「会う」には複数人が集まって相まみえるという意味はありません。基本は、(I) see you againのように、私があなたと会う←見る→顔を合わせる、というような意味の広がりです。

(1) 対して、meetは自動詞で、集まる、落ち合うという意味があります。(2) remindは、思い出させるというより、「釘を刺す」「念を押す」という訳語で掴んでおいたほうがいいでしょう。ビジネスでもよく使われるreminder、リマインダーは、念押しです。A gentle reminder. こうすると、いちおうね、うざがらないでね、って感じが出ます。(3) city hallは市役所です。hallの語感から、市庁舎かな。(4) organizerというとカタカナ語では何やら格好よさそうですが、ただの事務局です。まとめ訳、仕切り役のことです。(4) participants、stepsの意味がすっと出てこない人は、高校1年の英語からやりなおしてください。step (足の踏み場)が複数集まったものだから階段です。participantsは、アクセントの位置も重要、頻出です。

*

105. ------- is no better season than winter to begin training at Silver’s Fitness Center.
(A) When
(B) It
(C) There
(D) As it

センター試験レベルの頻出構文です。(C)。シルバーズ・フィットネス・センターでトレーニングを始めるなら冬が一番。

(1) There is no better なになに、で、なになにに優るものはない、なになにが一番、という意味です。意味というか、決まり文句。「さあ冬(のいま)こそシルバーズ・フィットネス・センターでトレーニングを始めましょう」と、煽っているわけです。ちなみに、僕なら、trainingではなく、exerciseを使うかな。動詞trainは、躾ける、鍛える、ですから。(2) beginというのは、習慣化(~するようになる)を示唆しています。対してstartは、習慣化の含みは弱いと、僕は僕の先生から習いました。

*

長くなりました。今回は以上です。ではまた来週末にでも。ニーズがあるようでしたらまた解説記事を書きます。おやすみなさい。