illegal function call in 1980s

1980年代のスポーツノンフィクションについてやさぐれる文章を書きはじめました。最近の関心は猫のはなちゃんとくるみちゃんです。

行商研修をしています

この間、行商研修を実地で担当しています。面白い。

リーダー職とプロモーション職の2人1組になって、指定の地域を決められた時間でオリエンテーリング風に回り、名刺交換をし、商材を買っていただく。現金取引。僕は現場の総責任者でもあり、プレーイングマネジャーとしてリーダーの役に就くこともあり、自分でプロモーション芸をすることもあり、出発前のトーク研修にも。移動は電車と徒歩です。

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大切なことって何だと思います? 研修を仕掛けた側の大きな意図は何か。

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売上金額や数量あるいは名刺交換の枚数? コミュニケーション? 地場/地域経済を肌感覚で知ること? それはもちろん大切ですが、ちゃう。

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若いメンバーに、自分が「種まき型」か「刈り取り型」かを身をもって味わってもらうことです。刈り取り型は、ぐいぐい行くわけです。多少強引な手を使っても、数へのコミットに、本能的な喜びを感じる。リーダーがこれだと、プロモさんに注文を入れるわけ。「何でおれがxxxにアタックしている間にyyyに行かないんだよ!」とか。

種まき型は、行かない。刈り取り型が10の数を上げる間、種まき型は6でもよしとする。その代わり、場も、プロモさんのことも、荒らさない。「まあいいよ。ドンマイ」とか何とかだまくらかして、「週中(なか)は体力温存。週末に6を8にしよう。トータルxか月の長丁場だし」なんて、のらりくらり。

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刈り取り型が入った翌日に、その地域を担当すると、けっこう大変。前日報告の数字はいいんだけど、また、荒れ地に種を撒いて、土を温め直さないといけない。種まき型が入った翌日は、何となく、お客様側もwelcomeな雰囲気になっている。刈り取り型は、トップ賞をとることが多い。種まき型は、「万年2番手」なんていわれて。

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「おれも二十歳三十路のころはxxxさんのさらに上を行くモーレツ刈り取り型だったなあ」なんて、いってみたりして。

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Excelでちょっと計算してみれば分かるけど、自社の売り子(プロモさん)がその地域を寡占していることを前提に、期間トータルで見れば「種まき型」の存在は必須。他社との併存だと、自社で温めて他社が刈り取るなんて(実際にはそんな愚にはならないけれど)リスクも考えないといけない。

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そうしたっくれ(栃木弁)、「刈り取り型」と「種まき型」のN日、N日からN+1日にかけての最適配置を考えるという線が、マネージャーに出てくる。報われないが地味な仕事を積み重ねている人の処遇はどうするつもりなんだぜ? 現場総責任者としての僕は、彼らのその部分の頭の使い方が知りたい。

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いま、わりと全国広範囲にやっている。で、おもしろいように、優劣が表れてくる。うち(僕の見てるところ)は連日ほぼトップだけどね。「どうしてそんなにうまくいくんですか」って訊かれたりもする。甘い。教えるわけない。「『戦国策』読んだら」って返したら、読むか? 読まないだろう。

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(わい、営業地域の昼間、研修に入る前の人の流れを観察して、そこらの姉ちゃん兄ちゃんに「どう? お盆終わった感ある? 客足、平常時のなんぼくらい?」「そうっすねー」みたいな会話重ねてるんだぜ)

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ちなみに、行商は鬱が緩和されるので、よい文明といわざるを得ない。