illegal function call in 1980s

1980年代のスポーツノンフィクションについてやさぐれる文章を書きはじめました。最近の関心は猫のはなちゃんとくるみちゃんです。

稲垣潤一アンパサンド(男とぅぉぉぉ女ぉぉぉんなぁぁぁ)

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少し、稲垣潤一の話をします。

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秋元康を加えたら稲垣潤一のベストは「ドラマティック・レイン」でしょう。この曲は秋元の明治大学に(かりそめの)籍をおいていた葉書職人時代の集大成という感じが濃厚にします。わたしはくーちゃんを看取ったら秋元をきっと刺しにいくとたびたび公言しているが、秋元のこれだけはいい。めっちゃ、力が入っている。「ドラマティック」と「レイン」を曲調にのせて切る。がんばったよね。わかるよ。工夫したんだ。

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「男と女」のところも遠近感が絶妙で、たとえば後の「雨の西麻布」の男と女と比べてみればいい。「そして女は濡れたまま」「そして男は背中を抱いた」「車のライトが悲しいね」これらはすべて「ドラマティック・レイン」の抜け殻、秋元自身の、成功を収める予感に昂ったギミックです。「雨の西麻布」は、わたくしの昼のしごとでの契約獲得に貢献していただいているが、心中わたしは泣いている。苦虫を噛み潰していることを秋元と後藤以外の世界の全員には知っていてほしい。六本木心中。

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稲垣潤一だ。

80年代90年代と稲垣のことはあまり好きではなかった。もちろんかなり好きで口ずさんだ。だがずっと聴くには当時は合わなかった。なぜか食傷するんだ。池田聡楠瀬誠志郎郷ひろみではない)や大沢誉志幸に気を移し、それにしても不思議なのは諸君、岡村靖幸の命脈の長さしぶとさだとは思わないか。

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稲垣潤一である。

かれのよさを最近になって再発見した。ここから先の筆は不要だろう。なぜかれはあの角度でマイクを持ちそれでいて不自然ではなく(めっちゃ不自然さを感じさせつつ稲垣だからと許容させたのがこの30年のおれたちの文化の成熟だとしたらおれは先陣を切って許すだろう)、この人はおれたちがしらない間に古典芸能に上り詰めたのだと深い感慨を催さずにいられない。数ある相聞歌の中で小柳ゆきとのものが出色。

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相聞歌? そう。男女が代わる代わるに歌を詠むと、そこには何かしらの色(中世古文的な意味で)が出る。古来愛された歌の形式のひとつ。湯川れい子/吉川晃司/アンルイスの「六本木心中」にわたしたちが思わず膝を打つとしたら、それは6世紀7世紀8世紀の何かがまだわたしたちの中に息づいていることの示唆だろう。

(見つからないので別の名曲を貼る。)

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この機に乗じていい添えれば「ロング・バージョン」は湯川れい子の仕事のもっともすぐれたひとつ。激しく静かに胸を打たれる。

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男と女3

男と女3