illegal function call in 1980s

1980年代のスポーツノンフィクションについてやさぐれる文章を書きはじめました。最近の関心は猫のはなちゃんとくるみちゃんです。

津軽には7つの雪が降るとか

すばらしいですね、雪女郎。

kihiminhamame.hatenablog.com

惟喬親王の話はまた別にします。

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志ん生が、何の噺だったかマクラに次のようなことを仰る。

あたくしが小さい時分には、上野の鈴本の辺りは随分暗くて、ちょっと脇の通りに入ると虫が出た。何だろうあれは、てんで、その薄暗がりの通りのほうに目を向けると、おしりを紫色、ピンク色に染めた大きな女郎蜘蛛がいる。そりゃもう見事なもので、思わず手を伸ばして捕まえようとする。

「お兄いさん、ちょいと寄ってらっしゃいな」

いつ演じたものだったか「疝気の虫」のマクラだったかと思うのだけれど、いま手元にテープがないので、雰囲気でやっちまった。東横んときだったか。相済まねえ。どなたか親切な御仁、探しておくんなさい。

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ウィキペディアの「雪女」が、非常によく出来ている。とりわけ印象的な部分だけを引く。

雪女 - Wikipedia

山形県上山地方の雪女は、雪の夜に老夫婦のもとを訪ね、囲炉裏の火にあたらせてもらうが、夜更けにまた旅に出ようとするので、翁が娘の手をとって押し止めようとすると、ぞっとするほど冷たい。と、見る間に娘は雪煙となって、煙出しから出ていったという。また、姑獲鳥との接点も持っており、吹雪の晩に子供(雪ん子)を抱いて立ち、通る人間に子を抱いてくれと頼む話が伝えられる。その子を抱くと、子がどんどん重くなり、人は雪に埋もれて凍死するという。頼みを断わると、雪の谷に突き落とされるとも伝えられる。弘前では、ある武士が同様に雪女に子供を抱くよう頼まれたが、短刀を口に咥えて子供の頭の近くに刃がくるようにして抱いたところ、この怪異を逃れることができ、武士が子供を雪女に返すと、雪女は子供を抱いてくれたお礼といって数々の宝物をくれたという。次第に増える、雪ん子の重さに耐え抜いた者は怪力を得るともいう。

これ前半部分、タクシーの怪奇現象とクリソツですな。つまりその、人の想像力というのは昔から、ある祖型をなぞって同時代的な意匠/衣装を着せるだけで、あんまり変わり/代わり映えはしない。それをよしと見るか、何でえと見るかはあろうけれど、物語作家をいちどは志した身としてはですな(エヘン)(オホン)、安心立命につながる。

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しかし、さりとて、当代、礼を恵んでくれるような雪女、これは数が減ったね。

www.youtube.com

僕は夜な夜な新沼謙治を歌っているのだけれど。

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自然現象を象(かたど)った名前は数あれど、「ゆき」ちゃんは、何となく、これはいい名前だと思う。丸谷才一が日本人は年末になぜ忠臣蔵に夢中になるかを説いて、その主な要因の1つに「冬と春(夏)の交代のメタファー」と喝破した。

忠臣藏とは何か (講談社文芸文庫)

忠臣藏とは何か (講談社文芸文庫)

 

正しいのじゃないだろうか。

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id:KihiminHamame さんの雪女郎、果て、次はどこに向かうのでせうか。諄いようだけれど、とても面白いw 「中河内の雪女郎」(なかのかわちの/ゆきぢよらう)私は何度でも何度でも云うが、この、口ずさんだときの響き、語呂のよさ、味わい。「あばれはっちゃく鼻づまり」意味ではないのだ、諸君。