間違ってます。鳥巣愛佳さんは、お清めをし直してもらってきたほうがいいかもしれません。
たまたま、hatenaのトップページから目に入ったので読んでしまったのですが、ひどい。文法も、論じる姿勢も、間違っている。受験生のみなさん、こうはならないでくださいね。
文法の誤り
動詞「清まる」は、ラ行5段活用です。コメントしました。気づいたら直すかなと思ったのですが、放置さる。まあいい。俺が直す。
「清まってるし」と言い放ったギャルの思考回路に破壊的イノベーションの構図をみた - 鳥巣愛佳のブログ
ラ行5段です。古語なら4段活用、現代口語は5段活用です。また意味論的にも文法的に突っ込みの甘いところがある。時間があれば自分のブログでフォローするかもしれません。 http://www.weblio.jp/content/%E6%B8%85%E3%81%BE%E3%82%8B
2017/01/26 05:03
ラ行四段活用は「清まる」の語尾である「る」の部分が「ら/り/る/る/れ/れ」と変格するもので
・清まらず、清まらない(未然形)
・清まります、清まった(連用形)
・清まる(終止形)
・清まる(連体形)
・清めれば(仮定)
・清めよ(命令)
と活用する言葉ということです。
違います。そもそも、現代口語に四段活用は存在しません。正しくは、下表です。a, i, u, e, oの5段に母音が登場します。鳥巣愛佳さんが誤ったように、未然形に戻ってo音が出るのは、見逃しがちな罠です。気を付けましょう。ついでにいえば、格変化と変格は異なります。
活用形 | 語幹と活用語尾 | 接続 | 活用語尾 | 活用語尾の母音 |
---|---|---|---|---|
未然 | 清まら | ない | ら | a |
清まろ | う | ろ | o | |
連用 | 清まり | ます | り | i |
終止 | 清まる | 。 | る | u |
連体 | 清まる | とき/こと | る | u |
仮定 | 清まれ | ば | れ | e |
命令 | 清まれ | よ | れ | e |
進行か継続/状態変化か
- 清める-清めテイル:他動詞、進行形
- 清まる-清まっテイル:自動詞、継続/状態変化
継続/状態変化のがいいでしょう。
イノベーション/innovativeではない
鳥巣愛佳さんが聞いたという、ギャルが口にしたとの「清まっている」は、文法的にはまったく無理なく説明できます。すなわち、ラ行五段活用自動詞「清まる」連用形、促音便「清まっ」に、接続助詞「て」および、補助動詞「いる」(継続/状態変化)が接続したものです。こういうのは、innovativeとはゆわない。
なぜ他動詞が優勢なのか/違和感の由来
他動詞「清める」は、ある特定の職能の人、または限定的な状況(例、墓参りの後「お清め」)を除いては、使うことが少ない。また、他人や、よそのもの(例、塩)に清めてもらうものです。よって、自ら「清まる」とは、なかなか耳にしない。「温まる」とかなら、ある。
ですので、確かに「清まる」は、日常には耳にしない。ですが、それとイノベーション、あるいはギャルに対する謂れなき侮蔑とは、別の話です。
口にする/できるとしたら誰か
先に、「ある特定の職能の人」というなぞかけをしました。自らの属性でもって「清まる」といえる人が、日本には少数、おはします(自動詞サ行変格活用-「いらっしゃる」「いらっしゃいます」)。それは、天皇陛下です。および、巫女さんです。異論があることには配慮したいと思いますが、陛下あるいは巫女の職能の1つに、穢れを清めることがあるのは間違いなかろう。厳密には、陛下や巫女でもだめで、禊をしなければ、自らを清めることはできないという立場も、十分にあります。むしろ、そちらが正しいかな。
ギャルはだれか
もう、明らかでしょう。東京大神宮の、あるいは近場のよそからきた、巫女さんです。「ってかもう清まってるし。」ナメんな汚らわしい素人、と(そうはゆうとらんw)。お勤めであるお清めを終えて、出てきたところに、鳥巣愛佳さんが遭遇したのですね。
Googleは原形で引きましょう
鳥巣愛佳さんのように、「清まってる」といった活用形で引く人がまさかいるとは目を疑いました。日本語でも英語でも何語でも、原形で引くものです。辞書もGoogleも。
「清まる(半角スペース)動詞」で引けば、一発です。ちなみに、これは古語ですので、四段活用で出てきます。
まとめ
むしろ、私などは、ギャルといわれる方に、日本語の自然で自由な語形変化が宿っていることに、膝を打つ思いがします。これだから、言葉はすごいんですね。イノベーションの、正反対です。
ついでに想像すれば、おそらく、鳥巣愛佳さんは、ギャルがお嫌いなのでしょう。私はギャルが大好きです。叩きたいなら、生半可な文法知識を持ち出さず嫌い一本やりで勝負すべき、文法がいい迷惑と申し上げています。
好き嫌いは別にして、文法というのは、保守的な性質を持ちます。イノベーションは、そう易々とは起きません。ですから、違和を感じる表現に出会ったとして、そこで立ち止まる軸、宿り木として、これほどありがたいものはありません。仮にギャルが嫌いでも、違和感を覚えても、確かな文法の知識があれば、こんなふうに、少しは話の種になります。
ただ自分が驚いて、付け焼刃でひけらかす、叩く、だめです。叩きたいありきだから、論旨がよれるのです。