1月4日(水)
15:00ごろ
5日の仕事始めにそなえて自室でデスクワークをしていると背後から「バタン」という大きな音。続けてロフトへのはしごを上るくーちゃんの足音。下僕手をとめすぐに(落ち着いて)後を追う。くーちゃんがベッドの下で身をひそめている。
とりあえず、触れたいのをがまんする。静かに降りる。
「猫 はしご 転落」でGoogle検索を激しく行う。ノイズと似た記事ばかりで肝心の情報がない。前回に引き続きIT社会に絶望する。
仏陀に、地蔵に、アラーに、キリストに、マリア様に、お祈りをする。一般財団法人日本宝くじ協会に、「僕の当選は結構ですのでどうかくーちゃんの無事をお願いします」という手紙を書き始める。
冷静を取り戻し、動物事典の購入を検討する。
- 作者: 東京農工大学名誉教授・公益財団法人動物臨床医学研究所理事・公益社団法人日本獣医師会会長,山根義久
- 出版社/メーカー: パイインターナショナル
- 発売日: 2012/11/09
- メディア: 単行本
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つらい。正直にいうと気が気でない。だがここはがまんだ。もし、身体に明らかに大きな異状があれば、くーちゃんは俺にそれとわかるサインを送ってくれるはずだ。なぜなら、俺のくーちゃんだからだ。俺はくーちゃんのボディガードだからだ。過信は禁物だ。しばらく緊張を維持しよう。だがその気配をねこちゃんたちに悟られてはならない。
16:00
ロフトに上がり、すこし撫でる。くーちゃん欠伸と伸びをする。このとき、少し右前脚を浮かすようにしていることに気づく。毛の抜けた跡や、血の跡はない。下に降り、しらかば動物病院の営業時間を確認する。年初は6日(金)から。6日に、会社を休むかどうかは明日5日のくーちゃんの様子をみてからにしよう。
17:00ごろ
くーちゃんロフトから降りてくる。右前脚を少し引きずるようにして歩く。よーく観察する。腫れはない。すこし触れる。嫌がるそぶりもない。静かに抱き上げ、足の向きや形に異状がなさそうであることを確認する。ほか、毛並みが乱れたり、腫れたり、血が出たりといったところもない。にくきゅうも、見たところ変な様子はない。
そっと、くーちゃんのお気に入りのベッドに降ろす。
1月5日(木)
4:30
くーちゃんが俺を起こしに来ない。やはりこれは異変である。くーちゃんの姿を探す。デスクの下の「ほかほかのわな」からこちらを見ている。トイレをきれいにし、お水とごはんを出す。トイレには、昨晩のくーちゃんのものと思われるうんちは残っていない。血便や体液のようなものもない。
余談だが俺ははなちゃん、くーちゃん、みーちゃんのうんちがだれがだれのものかわかる。
くーちゃん、右前脚をひょこひょこしながら、ご飯を食べにくる。食欲があれば、まずは大丈夫だ。お水も飲んでいる。休日往診を頼むほどでもないと判断。
仏陀に、地蔵に、アラーに、キリストに、マリア様に、お祈りをする。悪態をつきたいところだが、くーちゃんのためなら俺は魂や信仰心くらいいくらでも売りさばく。ま、池田大作と麻原彰晃と大川隆法は勘弁だが。
5:00
シャワーを浴びる。シャワーを浴びてトイレをみるとくーちゃんがおしっこをしていた。においをかぐ。大丈夫だ。前脚で砂もかけていた。会社に行こう。そして早々に帰ってくるのだ。
12:00
昼休みにくーちゃんの様子をみに戻ろうかどうか毎秒迷う。仏陀に、地蔵に、アラーに、キリストに、マリア様に、お祈りをする代わりに、金正日に動物愛護国家に転じてはどうかとメールを書き始める。金正日はもういないのだった。
17:30
定時退社。
18:15
最短最短を選んで「くーちゃんくーちゃんくーちゃんくーちゃん」とお祈りをしながら帰宅。
18:16
くーちゃんが迎えにきてくれない。やはりまだ脚の具合がよくないのだ。デスク下の「ほかほかのわな」にくーちゃんの姿を認める。静かに駆け寄り、なでなでなでなでする。はぐはぐはぐはぐする。すりすりすりすりする。くーちゃんが目を細めてくれた。
脚は腫れていない。ほかに、変な様子もない。仏陀に、地蔵に、アラーに、キリストに、マリア様に、いちおうの感謝をする。適当な感謝であっても、あいつら信者を減らすわけにいかないので、ハルマゲドンまでは罰を下すことができないのだ。ふっふっふ。リアリズムの勝利だ。お前たち、俺の信心がほしければくーちゃんの脚をいまこの場で治してみるがいい。「神は試すものではない」と大工のせがれは言ったそうだが、試されて減るようなものならそもそも神じゃない。
神との対話を終え、くーちゃんをながめ、満足し、トイレと、ご飯と、お水のお世話をする。
19:30
くーちゃんの歩き方が、ほんの少しだけよくなっている感じがする。ただ、全体に、低いところにいようとする。
21:00
この様子なら、明日は会社を休まなくても大丈夫だろう。ただ、お昼にしらかば動物病院には電話をして予約を入れよう。就寝。
1月6日(金)
12:00
しらかば動物病院さんに電話。状況と症状の概要を伝え、7日(土)朝いちばんの予約を入れる。
夜まで、くーちゃんの様子には、右前脚の「ぺこぺこ歩き」を除いては異状なし。
1月7日(土)
4:30
アクシデント以来はじめて、くーちゃんが下僕を起こしにきてくれる。お水、ご飯、トイレのお世話をする。この間、くーちゃんのうんちにも変わったところは見られなかった。ただ、全体に元気がないのが続いている。
8:00
くーちゃんに洗濯ネットにお入りいただこうとするが、「いやいや」されたので引き下がる。強引に入れて、それで脚に影響がでようものなら本末転倒。
9:00
しらかば動物病院さんに、「きょうの受診はむずかしそうです」と電話を入れる。「くるみちゃんの具合はどうですか」と訊かれたので、その後の概要と、少しずつだけれど、おおごとでなく、なんとなくよくなってきている気がする旨を伝える。それでも明日は極力受診に伺いますと伝える。
9:30
はしごからの転落再発防止策の手をうたなければならない。
あれこれ考えた挙句、はしごの補強(すべり防止)は難しい。それに、降りる最後のステップには、「低地へのジャンプ」が必ずつきまとう。これから少しずつ年を重ねることを考えた場合、ここから別の住まいに移るとしても、別のアプローチが必要だ。
- 現在:はしご中段1.2m→テレビ台0.5mへジャンプ。そこから床のじゅうたんへ。
- 今後:はしご中段1.2m→スチールラック0.8m→テレビ台0.5mへジャンプ。そこから床のじゅうたんへ。
こうだろうな。スチールラックの上には何かのクッションを乗せればいい。テレビ台も、この機会に角ばったところはすべてカバーで覆うようにしよう。
Amazonで必要物資を注文する。
くーちゃんは、終日、右前脚の「ぺこぺこ歩き」を除いては異状なし。
*
後編に続く。
(結果をいえば、1月8日本日の診察の結果、問題はありませんでした。よかった。(´;ω;`)ウゥゥ)