地主恵亮さんが「dancyu」8月号に記事を載せていらっしゃいます。品川から京急にのって三崎/三浦海岸まで行ってお魚(マグロ、金目鯛…)を食べてくるというお話。
ダンチュウ8月号に書かせてもらいました。三崎に魚を食べに行っています! ナイスなダンディが読む雑誌に書かせてもらった私もまた、ナイスなダンディなのだと思います! pic.twitter.com/92UsDQL3TB
— 地主恵亮 (@hitorimono) 2016年7月6日
地主さんのことはみなさんご存じですよね。はてぶの上がり方を見ても、hanetaとdpzは親和性が高い感じがします。
この方です。手前側が森翔太さん。2人とも強烈な個性と慎みのあるキャラクターで、好きです。
地主さんのdpz記事は以下から。
出世作は「50年前のガイドブックうんたら」なんだけど、僕はこれが好き。
でも、最近ちょっとdpzでははてぶ的には他のライターさんに押されている気配あり、すべってる感じも(笑)。で、どうしてるのかと思ったら、おとといくらいに届いた(定期購読者です)dancyuに載ってて喜んだわけです。いちいち著者名なんてよほどのことがない限り見ない。でも、どこかで読んだ覚えのあるリズム、文体、少々のライトな鬱屈だなあと思って著者名を見たら、地主さんでした。
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1985年生まれ。31歳。あのね、地主さん、化けると思う。いまでも十分著名だと思うけれど、もっと大きな、メジャーな作品が作れそうな気がします。そういう匂いが、dancyuの三崎探訪の記事からは、漂ってきました。ちょっと格好をつけた導入で、dpzのような抜けた感じが弱い。そこがね、ああ、この人、無意識に何か狙ってる/狙われてる、そっちの世界から呼ばれているよって僕には思えたわけです。
引用します。
月曜日というものがある。誰もが知っている曜日だと思う。これが非常に憂鬱な存在だ。土曜、日曜と会社が休みで、散々遊んだり、干からびるまで眠ったりする。そこに躊躇なくやってくる月曜日。目を覚ましたときから、勉強せずに受けるセンター試験くらい憂鬱だ。
そんな月曜日は、もうどこかに出かけてしまえばいいのではないか。
(地主恵亮「三崎へ魚を食べに行く 終着駅は港町。」『dancyu』2016年8月号 P.78)
力入れて、切り詰めてる。いいでしょう? dpzとは違った読者層を意識してる。いいなあ。
使い古しの、すっかり薄く丸くなってしまった石鹸を見て、ちょっと待ってくれという気分になってみたりすることが、多分、だれにでもあるはずだ。日々、こすられ削られていくうちに、新しくフレッシュであった時の姿はみるみる失われていく。まるで――と、そこで思ってもいい。これじゃまるで自分のようではないか、と。日常的に、あまりに日常的に日々を生きすぎてしまうなかで、ぼくらはおどろくほど丸くなり、うすっぺらくなっている。そのことのおぞましいまでの恐ろしさにふと気づき、地球の自転を止めるようにして自らの人生を逆回転させてみようと思うのはナンセンスなのだろうか。周囲の人たちは昨日までと同じように歩いていく。それに逆らうように立ち止まってみる。それだけで、人は一匹狼だろう。
一人のアマチュア・スポーツマンがいた。
(「たった一人のオリンピック」P.86/角川文庫『スローカーブを、もう一球』所収 P.62)
どことなく、似てない? 似てないかあ。山際淳司32歳。いつもする話だけど、これは山際さんの「江夏の21球」前夜の傑作。
地主さん、旅作家として、どこか次のステージに、駆け上がりそうな気がするんだけどなあ。俺が編集者なら、分量を切らずに、好きな場所に行って好きなだけ丁寧に書いてもらうんだけど。「ただし、憂鬱って熟語をなるべくつかわないで地主さんらしい憂鬱を表現して」くらいの注文を付けて。
地主恵亮氏がdancyuという素敵な公の場を借りて「東京農大とdpz編集部の月曜日は地獄だ。このまま火曜日も休んでしまおう」(意訳)とか意味深を行っているのを発見して喜びTwitterでチクリなうw 本城直季さんの写真もいい味わい https://t.co/F2M84MKiyL
— nekohanahime (@nekohanahime) 2016年7月9日
あ、森翔太さん。森さんのことはまた別の機会に。
ふたりまとめては無理だよ。濃すぎる…
三崎を堪能してお店を出た。夕暮れだ。世界がオレンジ色になっている。月曜日が終わるのだ。明日は火曜日。仕事に行くと思うと、火曜日も憂鬱だ。もし自分がトナカイだったら、サンタを振り落とすくらい憂鬱だ。
なので、いっそ明日も休んでしまおうか。明日はどこに行こうか。
(地主恵亮 前掲書 P.81)
夕暮れだ、じゃねえよ馬鹿野郎、仕事しろw(北野武)