マクラの話で、ひとつ思い出した。これ。美濃部孝蔵。
僕もずいぶんと話は聞いたけど、マクラという点ではいろいろと完璧ではないかと思う。
だまされたと思って、聞いてみてください。おしまいまで聞いて、呆気にとられ、生きていて、生き延びて、よかったと思う。戦中に吉田茂がお忍びで好んで聞いたのがこの話だったというのを、何かで読んだ記憶がある。
(追記)
明らかに、志ん生を意識していると思う。うまい。でも、これじゃないんだよね。なんというか、艶に理が勝ってしまう。談志が照れ交じりでずっと隠したがっていたのは、この辺じゃないのかな。
「疝気の虫」というのは、噺としても、ベンチマークとしても、ほんとにおもしろい。
私が印象に残っている談志師匠の高座は、最晩年で声がガラガラになっちゃった頃の「疝気の虫」「権兵衛狸」「粗忽長屋」なんだよなぁ。特に「疝気の虫」。志ん朝師匠が「オヤジ(志ん生)の虫は、ホント虫だもんな」と評したらしいけど、まさにそんな感じだった。
— 北風寒衛門 (@leppamania) 2016年4月14日